五代目小さん師匠は、私にとって一番好きな噺家だ。
落語といえば小さん。
小さんといえば落語。
最高の噺家だったと思う。
小学生の頃、祖父のお供で観に行った。
当時地方議員で名士だった祖父は、楽屋で小さんに挨拶していた。
小さんは優しい笑顔のおじさんだったのを覚えている。
「師匠、うちの総領孫なんだ。」
そう紹介する祖父。
小さんは「そうですかい、坊ちゃん良い子だね。沢山孝行おしよ。」
と頭を撫でてくれたのを覚えている。
昨年、お孫さんの花緑師匠にその話をした。
「祖父らしい」と笑っていた。
演目は花見の仇討ちだった、と思う。
(六部って何だ?)と思った記憶があるので間違いないだろう。
本当に面白かった。
今に至る演芸好きの原点の一人、五代目柳家小さん。
あの日、何故祖父が祖母でなく私を連れて行ったのかは分からない。
後年夫婦と木久ちゃんで写っている写真が出てきたので、嫌いでは無かっただろうが。
そのお弟子の鈴々舎馬風師匠の一門の漫才師、ロケット団のマニアになったのも奇遇。
同じくホンキートンクとも。
縁はどこかで繋がっているのかもしれない。