私は、夢路いとし・喜味こいしの漫才が好きだ。
しゃべくり漫才の最高峰だと思う。
中田ダイマル・ラケットと並んで現在に繋がるしゃべくり漫才の初期の完成者の一組だろう。
いとこい先生の著書は入手可能なものは全て読んだ。
DVD化された作品は、観賞用と保管用で2組揃えて繰り返し観ている。
(DVD、本は昨年1組ずつ漫才師の友人に進呈したが)
いくら観ても飽きる事ない、観る者を惹きつける漫才。
老若男女が楽しめる、家族で観て笑う漫才。
そして、時代を超えて楽しい漫才であるいとこい先生。
上岡龍太郎氏が生前、「凄い芸人は犯罪者と同じ眼をしている。異常人だから面白くなれるとおもうわ。せやけど、いとこい先生。優しい眼をされてたなぁ、ほんまに穏やかで人格者やった。なんであんなにおもろかったんかなぁ?」と話したインタビューが残っている。
著書を読んでも、本当にキチンとしたお人柄が窺い知れる。
交通巡査。
こいしさん、こいしさん。
鍋料理。
花嫁の父。
ファストフード初体験。
ポンポン講談。
好きなネタをあげたらキリが無い。
平成前期生まれの息子がいる。
彼が一番好きな漫才師はいとこい先生らしい。
次いで球児好児師匠、桂子好江師匠と言っていた。
渋い趣味だ。
その影響か、小学生の甥、姪も動画を覗き見る事がある。
令和の小学生も、鍋料理のネタを見てゲラゲラ笑う。
これは凄い事だと思う。
普遍的な面白さなのだろう、半世紀以上の時を経て説明無用で笑わせる。
トムとジェリーか全員集合か、いとこい漫才か。
「兄貴が亡くなって、いとしこいしの漫才はお終いでございます。」
こいし先生がいとし先生が亡くなった時の会見で話したのを覚えている。
ただ、残してくれた多くの漫才は、今も多くの人を楽しませてくれている。