駅前シリーズ等の喜劇映画で、今も伴淳を見る事が出来る。
山形県出身の浅草の星、ロケット団の三浦君の大先輩か。
明治41年生まれ、昭和56年没。
だいぶ昔の人であり、最早歴史上の人物だ。
若き日の渥美清を厳しく虐めたというエピソードは有名。
昭和4年ごろには活動写真の役者として活躍している。
「アジャパー」というギャグは今も知られている。
「アジャジャーにして、パーでございます」の略である事までは、歴史の忘却の彼方かもしれないが、伴淳といえばやはり「アジャパー」だろう。
コメディアンとして、喜劇俳優として時代を築いた名優である。
また昭和39年には、水上勉先生原作の映画「飢餓海峡」にも出演。
刑事を演じたシリアスな演技も高い評価を得ている。
個人的にはテレビドラマ「寺内貫太郎一家」(第1シーズン以外は嫌いだが)の、老職人イワさん役が大好きである。
左とん平との軽妙な掛け合いは面白かった。
それ以上に、主人公の父親代りで物事を深く洞察する人生の達人の側面が見事に表現されていた。
寺内貫太郎という稀有なドラマに於ける伴淳の存在は極めて大きい。
面白く笑い、その中でほろりとするのが喜劇。
藤山寛美の言葉だが、その意味で寺内貫太郎一家は紛れもなく名喜劇である。
日本人のメンタリティに訴るその物語は、長い時を経ても色褪せない。
そこに伴淳がいる、その存在もあるからだといえる。
駅前シリーズを観ている若手は居るだろうか?
日本史上最高のエンターテイナーと言われた森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺が共演している奇跡の様な映画だ。
普遍的な笑いがそこにある。
温故知新、だ。