盲点  マイナ保険証 | 社会の裏を晒すブログ

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国会で「紙の健康保険証」の廃止が決まろうとしている。このまま行けば、2024年秋に廃止された後はマイナカードが健康保険証を兼ねることになりそうだ。だが、紙の健康保険証を完全に廃止するには、その時点で日本のすべての医療機関が「マイナ保険証」への対応を終えてなければならない。そう、「オンライン資格確認」の導入である。

 

オンライン資格確認はマイナカードや被保険者番号を使用して受診者の保険資格を照会するためのシステムだ。このシステムにより、マイナカードが医療機関窓口で保険証として扱われるようになる。これは原則として医療機関での導入が既に義務化されており、遅くとも令和5年9月頃までには全ての医療機関で整備される事になっている。現在は各機関とも導入を進めている段階だが、遅かれ早かれ全国的にオンライン資格確認が行われるようになるだろう。

 

しかし、この導入計画の推進には盲点が有る。

 

オンライン資格確認の利用には、

 

①NTTの提供するフレッツ光ネクスト(NGN閉域網)内でのIPv6を用いたIP-VPN

②上記以外の回線を用いたインターネット接続経由でのIPSec-VPN

 

の、2つのうち最低ひとつの仮想プライベートネットワークを契約・導入する必要があるのだが、こうした専門的なネットワーク構成は一般にはハードルが高いので、オンライン資格確認の導入に特化したパッケージとして広く販売されている。販売の主流は①を契約するパターンで、流石にNTTが幅を効かせている訳だから、当然それが利権の臭いとして嗅ぎ取られていたりもする。

 

 

その方向の問題は別にあるとして、だ。

 

ここで挙げておきたいのは「ネットワークそのものの脆弱性」だ。

既に述べたとおり、オンライン資格確認は①②のどちらかのネットワーク接続が有れば利用可能なため、大抵の医療機関はどちらか一方のネットワークしか導入しない。「そんなの当たり前だろう」と思うかも知れないが、それだと障害発生によるネットワーク遮断時に大いに困ることになるのだ。

 

既知の通り、ネットワークというものは度々障害を起こす。有線であれ無線であれ、長時間使えなくなる事が頻繁にある。まずいことに、オンライン資格確認はネットワークが遮断されたら一切使用出来なくなるのだ。受診者の資格確認が取れない場合は窓口で全額支払を請求されることになるから、もしも現金で支払えない患者が居たらその場で処方箋も受け取れなくなってしまう。医療現場でその状態が長時間続いたら一体どうなるだろうか。

 

また、ネットワーク障害は得てして大規模になりがちということもある。上記のような医療機関窓口でのトラブルが、至るところで起きることになるのだ。一旦そのような事態になればひたすらネットワークの回復を待つしかないが、そもそも医療のようなミッション・クリティカルな領域において許容出来る話ではないだろう。

 

実際のところ、こうした悪夢を予防するには、各医療機関において「物理的にネットワークを二重化する」以外に無いのだ。現実解は、①と②を両方契約してどちらも使えるようにしておくことである。①がダメになったら自動的に②に切り替わるような措置が、絶対に必要ということになる訳だ。

 

世間では既にマイナ保険証利用によるトラブルが噴出しているようだが、今のところは全てシステム設計上の不備、仕様上の不備に起因するオペミスばかりだ。そうした不具合については発覚した段階で改修リストに載せられるため、厄介ながらもやがては解消する方向に進むだろう。

 

しかし、ネットワーク遮断のリスクは今後も決して解消することが無い。にもかかわらず何故か誰もそこに焦点を当てないから、オンライン資格確認はほとんどの医療機関において「一本のネットワーク」のみで導入されて行く。想像力が皆無な政府は、「ネットワーク二重化による導入」を全く推奨しようとしないので、完全に社会の盲点となっているのである。

 

いつか大規模ネットワーク障害が発生する日、その盲点がやっと目に見えるようになる。

 

そうなってから慌てたって、遅いんだからな。