安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏
東京大学大学院農学生命科学研究科教授
ハーバー・ビジネス・オンライン 2019/12/22 08:32
日本の食と農が崩壊する!
安倍政権はアメリカが要求する農協改革の名のもとに、農業への企業参入、農業の大規模化・効率化を推進してきた。規制改革推進派の小泉進次郎氏が自民党農林部会長に就き、「農業が産業化し、農協が要らなくなることが理想だ」と公言する奥原正明氏が農水省事務次官に就いた。
諮問会議で農業改革の議論をリードしたのは、農業の専門家ではなく、金丸恭文氏、新浪剛史氏といったグローバリストである。結果、農業分野への参入に成功したのは、新浪氏が社長を務めていたローソンファームや竹中平蔵氏が社外取締役を務めるオリックスである。
安倍政権が掲げてきた「稼げる農業」というスローガンは、その実態は、グローバル企業やお仲間企業だけが稼げる農業なのである。
農業を犠牲にする経産省政権
── 日米貿易協定が2020年1月に発効します。
鈴木宣弘氏(以下、鈴木): この協定について、安倍総理は「ウィン・ウィンだ」などと言っていますが、日本の完敗であることははっきりしています。自動車に追加関税をかけるというトランプ大統領の脅しに屈して、日本は農業分野を犠牲にしたのです。日本側の農産品の関税撤廃率は72%ですが、アメリカ側の関税撤廃率はわずか1%に過ぎません。日本農業は、さらに大きな打撃を受け、食料安全保障の確立や自給率向上の実現を阻むことになります。