朝日新聞社 2020/02/02 19:09
先月31日の閣議で、政府は今月7日で定年退官する予定だった東京高検の黒川弘務検事長(62)の定年を、8月まで延長する人事を決めた。黒川氏の定年を延長することで、現職の検事総長が慣例通り8月に勇退すれば、黒川氏が検事総長に就任できる道が残る。
枝野代表の抗議から
「検察まで安倍官邸が、恣意(しい)的に動かすというようなことは許されない」
「何がなんでも(黒川氏を)検事総長にするためだと、みんな思っている」
「首相を逮捕するかもしれない機関に、官邸が介入するだなんて、法治国家としての破壊行為だ」
遅ればせながら
転載 2020/02/01 日刊ゲンダイ
「まさか本当にやるとは」――。さすがに驚きと怒りの声が上がっている。安倍政権は1月31日、2月7日に定年退官する予定だった黒川弘務・東京高検検事長(62)の定年を8月7日まで半年間、延長することを閣議決定した。
検察庁法は、検事総長の定年を65歳、その他の検察官の定年は63歳と定めている。国家公務員法は、1年を超えない範囲での勤務継続を認めているが、定年が延長されるのは、異例のこと。黒川検事長は、2月8日に63歳の誕生日を迎える。検事長が定年を超えて勤務を続けるのは戦後、初めてのことだ。
前代未聞の人事を発令してまで定年が延長されたのは、黒川検事長が安倍官邸と極めて近いからだ。安倍政権は、官邸に近い黒川検事長を検察トップである検事総長に就け、検察組織を官邸の支配下に置くつもりだ。法務省事情通がこう語る。
「黒川検事長と菅官房長官が親しいのは、省内では誰もが知っている話です。黒川検事長を法務省の事務次官に抜擢したのも、東京高検検事長に就けたのも“菅人事”だとみられています。本来、事務次官には、黒川さんと同期の林真琴・名古屋高検検事長(62)が就任するはずだったのに、ひっくり返した。よほど菅長官は黒川さんのことを気に入っているのでしょう。そのうえ、定年延長だから露骨です。これで検事総長の人事も大きく変わる。予定では、黒川さんが2月に定年退官したあと、林真琴さんが東京高検検事長に栄転し、8月に検事総長に就くことになっていた。でも、異例の定年延長によって、もはや黒川さんが検事総長に就くことは確実です」
安倍官邸のお気に入りを検事総長に就けるための“禁じ手”には、さすがにネット上でも批判が飛んでいる。
<これで政界に手を出さない検察が出来上がりだね><正義はどこにある><官邸サイドは林氏が検事総長になるのをよほど恐れているらしい>
逆に自民党からは、「これで河井夫婦の捜査も終息する」「IR汚職の捜査も終わりだ」と歓迎の声が上がる始末だ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「これまでも安倍政権は、積み上げてきた人事のルールを破って、NHKや内閣法制局を支配下に置いてきた。とうとう検察まで支配下に収めようとしている。もはや、この国は三権分立が成り立たなくなりはじめています」
ネット上には、<これで国民が声を上げなかったら、極右独裁国家ができあがるぞ>と悲鳴が上がっている。一刻も早く暴走政権を止めないと、この国は大変なことになる。
ゲシュタポの時代を展望?垂涎?
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ゲシュタポ 【ドイツ Gestapo】
〔ドイツ Geheime Staatspolizei の略〕
1933年に組織されたナチス-ドイツの秘密国家警察。超法規的な強い権限を有し,反対派・ユダヤ人・占領地住民などに対してテロ・弾圧を加えた。