もうすぐ見えてくる
数百の光の粒を目の前にして
その 例えようもない寂しさを足元に置いて
彼はあそこに向かったろうか
赤子の声も届かない 青く黒い洞穴の中を
ガタガタと震える肩を抱きながら
闘い そして気づき
奥へと進んだか それとも外へと進んだか
誰にも分からない
ただ 宇宙の原理に基づけば
彼は その真白い髪を 自分の生きてきた
生きてきた空に浮かぶプレートの透明度と比べ
そのどちらかを選ぶ権利があるとするなら
人間界とは関係のない あのサバンナの涼しい風の夜に
ただ そこに立ち尽くし 腹を空かせた野獣に喰われる事は
そんなに苦しい事ではないと気づくはずです
月はあんなにも怪しい雲をまとい
雨はベランダの外で ずっと待っている
ああ どうすれば 彼の元へ行けるのだろう
彼にまた 会えるのならば どんなにこの身体が壊れていっても構わない
私は左胸を押さえながら 今日もそんな事を思うのです
どうすれば また彼に会えるのか
どうすれば 人の幸せを祈れるのか
西新橋の 街灯に照らされた暗い道を歩きながら
また左胸を押さえ 立ち止まる
暗く 白い歩行帯を見つめながら
彼の色にそっくりな それを見つめながら
また明日から 何もかもをごまかしながら生きていくのです
また 会う日まで 彼はいつでも天空のサバンナで