幸いなことに聴力は
少しずつ回復を始めた。

半月前の受診日に夫が付き添い、
私の眼振を医師と確認した日は、
聴力は戻らないと思う、
と又言われた日でもあった。

診察後、買い物に寄った夫は、
店から出た途端に
私の前方をスタスタと行ってしまった。

車のドアの横に立ち、
ノロノロ歩く私を確認して、
運転席に座った。
 

めまいでソファーに横になる私を
知っているのに。
遅れて乗り込む私に、
体調を心配する言葉もなく。

次の店でもそうだった。


彼の背中は
苛立っているみたいだった。
面倒くさいと思っているみたいだった。


片耳が難聴になったことが、
私の価値を下げてしまった?


これが、手だったら。足だったら。
目だったら。脳だったら。

きっと、
妻を介護するという脳みそはないのかもしれない。


CINDYさんが教えてくれた。
過去の記事についたコメントの言葉。
妻は家具   という表現だった。 

壊れたら、いらないし、邪魔。
新しいのに変えればいいってこと。