坂下に放置されたグレーのカゴ。


あの日、自転車がないことに気づいた私は、
自分を疑った。

あのスーパーに置き忘れてしまったに違いない!
私のことだから、あり得るのだ。

行くはずのパン屋には、
あのスーパーに寄って、
青いサビた自転車に乗ってから行けばいい。

自分の間抜けさを
小さく笑いながら、歩いた。

でも自転車はなく、
ただ遠回りしながらの買い物になっただけだつた。

帰り道、坂下にあのグレーのカゴは
放置されていたのに、
私のだとは気がつかなかった。

自転車がなくなった時に
私は自分を疑った。

自転車泥棒は
あのサビた自転車を盗んだばかりか
工具を用意し、
そのカゴと取り付け部品を投げて行ったのだった。


特に後進国の若い男との歳の差のある結婚。
妊娠できない年齢の女性たち。

騙す側は用意周到。

オンボロ自転車のカゴですら、
綺麗に外し、
必要な物だけを持ち去って行く。

それはピザ?金?滞在資格?

もし最悪なことがあったら、
自分に非があると考える前に、
相手を疑って。

私達が思うより、
そいつらは、長けているから。