義父は、さびしさに耐えながら、
孫の肩を抱きながら、
笑いながら”ここに残りなさい”と言った。
義母は、口を添えた。
”あなたは私の息子を日本に連れて行った。
だから、あなたの息子を一人パキスタンに置いて行ってもいいじゃない”
厳しい義父は、
私たち家族に、とてもやさしく接してくれていたから、
その冗談は痛かった。
別れ際に苦い思いをさせるお決まりの冗談だと
わかっていても
私はこぼれる涙を抑えきれない。
それは、息子を手放すかもしれないという涙ではなく、
なんてひどいことを言う義父母だ・・というのではなく、
年老いて、
息子たちが巣立ち、
取り残される両親に、
苦い冗談を言わせてしまうことへの申し訳なさいっぱいの
深いところから、
あふれ出る私の涙だった。