家族で外出をして不機嫌になったのは私だった。


夫の饒舌に機嫌よく根気よく相槌を打つのは長女だった。


長女は父親の行動はすべて正しいと、私のことを否定する。


つまらなくて、くだらなくて、矛盾している話にだって同意する。

目の前で展開される彼女の二面性が私はおもしろくない。






車内で見たテレビでは、


女性は年頃になると自分とは遠い遺伝子の男性を求めると教えてくれた。


だから年頃の娘は父親や近親者には嫌悪を感じるのだという。


たくましい子供を残すための本能らしい。


本能って神さまからいただいた能力だよね?



ふむふむ。

血縁とのお見合いなんて、鈍感低脳男と女性だった気持ちを忘れてしまった鬼ババアの仕業ってことだよね。





切断されたばかりの指にふりかけると指が再生されるという粉があると教えてくれた。


でも、豚の膀胱で作られているんだって・・・


ああ、残念。

魔法のような粉なのに、豚だったら使えやしない。


羊の脳みそカレーを食べたら、頭が良くなるっていう人たちだもの。


魔法の薬だって、物議をかもすに決まってる。





人間の指紋はサルだった頃の名残なんだと教ええてくれた。

・・・・・ああ・・・・・

人間がサルだったはずはないじゃないか!

・・・・・はい・・・・・とは、誰も言わないし、逆らうことだってしないんだ。

小学生の末っ子だって空気を読んでる。

だから、車内は静まり返る。




団欒のテレビにだって地雷がいくつも埋まってる。