初めてあの国を訪れた時、


ひと月ほどの滞在で、


別れの涙は差し引いて、都合3回私は泣いた。




初めて泣いたのは、


外に出かけたがる私とまだ7,8歳の子供だった弟を、


車の後部座席に乗せて、


助手席にはおじさんが座り、


お義父さんが運転をする車で、


銀行に向かう車中、弟とふざける私が、


笑顔のまま、ふと歩道に顔を向けてしまったことが原因だった。


家に帰ると夫から、義父の伝言という形で私の耳に入れた。


知らない男に笑顔を見せてはいけない・・・・と聞かされたその時に。


泣き出す私に、お義父さんは、夫を問いただす。


だって、お義父さんは私の涙を理解できなかったから・・・


息子が間違えて通訳したのだと・・・思ったから。


”いいえ、お義父さん、あなたの息子は、あなたの言葉を忠実に説明してくれたのです。

ただ、私にはそれが、とても息苦しい生活を強いられることを意味していたので泣いてしまったのです”


と私は心の中でつぶやいていた。




2度目に泣いたのは、


初めてお義母さんの後について、礼拝をしたときに。


動作も礼拝の言葉もわからない私は、


ただ、スブハーナッラーとだけ繰り返しながら、お義母さんを真似ていた。


サジダをしたときに(床に頭をつけるとき)


私の額のところから、


空に向かう金色の帯のような筋が見えたその時に。


涙があふれ、鼻水がでて、ぐちゃぐちゃになってしまったのだった。


感極まり、礼拝の後も泣きじゃくる私に、


末の妹は、”泣いたり、鼻水で汚れたら、礼拝にならないんだよ”としきりにみんなに言っていたっけ。




3度目は


義理の姉の住む町に、


お義母さんと夫と私で列車にゆられ訪れて、


あちらにいる親戚たちと


ピクニックに行ったとき。


それまで、話題の中心だった日本人の嫁は、親戚たちの熱い会話の中にあっては、お荷物になっていた状態で、バスの中で、私は孤独に外の景色をぼんやり眺めていた日のことだった。


高い山にあるその公園は、整備されたわけでもなく、公衆トイレがあるわけでもなく・・・ただの山だった。


遠くに見えるあの緑の豊かなところがカシミールだよ・・・との説明に


突然、涙があふれて出た。


”なんて遠いところにきてしまったのだろう。ここには青い空があって、風が吹いているのに、私はまるで、籠にとらわれた鳥のようだ”と感じてしまったその時に。







大風のなか、自転車で向かった2駅先の激安スーパー。


今日の特売は詰め放題が200円だった。


サバは3尾入った・・・・でも、3尾では足りないんだよな・・・7人家族に弟も泊まっているから。でも1人1袋だから仕方がないか・・・。


さつまいも・・・・まあ、なんとかなるな。


干ししいたけ・・・・う~んこれも日持ちするからまあ、大丈夫でしょう。


ああ・・・・・


真カレイ・・・・小ぶりなのが12尾も入っちゃったんだけれどね・・・”唐揚に”なんて書かれてあるんだけれどね・・・実は、未知なる食材なの。どうしよう・・・骨がある魚はまどろっこしいから、夫は食べないし・・・ああ私の頭を悩ますこの真カレイ・・・どうしょう。


それに、いつかお友達に聞いたことを思い出して買ってしまったスイートチリソース。安かったの。198円なんだもの。生春巻きにおいしいよとレシピを教えてもらったのに・・・肝心の生春巻きがうちにはない・・・。


今朝ソースがなくって子供たちに”え~”って文句を言われながら、濃い目の味付けにして難を逃れたお好み焼き。

ああ・・・ソース買い忘れてるし・・・


あたたかい突風が時折吹く中


もう一回買い物行かなきゃ・・・だめ?


つめ放題し放題だったのに・・・・・なんか、中途半端な気分の私です。残念!