世の中には仕組みがあって、
夫の家にも仕組みがあって、
私はそこに、はまっちゃってるっていう感じ。
例えば、私は家族とバトルできない。
同居している兄嫁と夫の家はかなりのバトルがあったらしく、
外国人の嫁である私には当初ひた隠しにされていたのだけれど、
ぼろぼろとたまにこぼれ落ちる話の合い間に、
私が”そんなことないでしょ?兄嫁はいい人だもの”なんて、
悪意を秘めながら、
あいずちを打っちゃったりしたら、
ここぞとばかり、
彼らは今までのバトルなんか話してくれちゃって・・・
それでも、兄嫁をかばう私は、
”もっと教えて”という好奇心を胸に秘めながら、
悟られないようにしながら・・・
彼らから話を聞きだしたりしていたのでした・・・。
そんな暇な退屈な不毛の毎日を、
おどけながら、無理して微笑みながら、暮らしていたから
勘違いされちゃって、
アイシャは兄嫁と違って私たちとけんかしたことのないいい嫁だって言われちゃうのよ
だから、
つまり、
私はバトルすることができないんです・・・・・
まぁ、ぶち切れる時には、きっと、そんなことおかまいなしなんでしょうけれどね。
たまにかかってくる国際電話。
うっかり受話器を取ったら、
彼らの朗らかな元気な声が聞こえちゃったりした時は、
耳元で声を聞くのも
具合が悪くなるので、
受話器を耳から離してしまう、
薄情な嫁なんですけれど・・・ね。
そうそう、
電波事情の悪い振りをして
聞こえない振りしたり、
切ってしまったこともあるんです。
もう一つの仕組みは
移住をしたらもれなく最低でもお義母さんとお嫁にいくのがむずかしいかもしれない身体の悪い妹と同居になるっていうこと。
お義母さんとお義父さんは仲が悪い。
お義母さんがお義父さんを嫌ってる。
さんざんいじめられたから。
別居したがってる。
でも人の目を気にするあの国で、
義母が別居することになったら、
まわりの人はあることないこと噂を立てるのが見え見えなので、
大義名分が欲しい。
頼みの長男は(つまり兄)義父と同居。
次男の夫は日本。
最愛の三男の弟も日本。
子供の頃から父親に殴られて育った次男は、昔から相当の暴れん坊で、男三人の中ではあまり愛情をかけれていなかった節がある。
だから、きっと夫も名誉挽回がしたいのだろう。
もらいそびれた愛情を、取り返したいのかもしれない。
母と同居したい!という決意がきっとみなぎっている。
でも自分には日本での仕事がある。
それだったら、せめて、嫁と孫たちと暮らさせてあげたい。
母も堂々と別居ができる・・・・
だから、だから、消えることのない移住話。
そして、そして、絶対にありえない完全別居。
世の中って、仕組まれてるのね。