振りかえって
乱暴な言い方をすれば
同情婚だった気がする。
言葉の通じない、肌の浅黒い、白い歯の、白目が青く写るほどキラキラした目をしていた青年。
力になりたいと思った。
けれど、それだけではなく、
打算もあった。
型にはまったありきたりの平凡な結婚は魅力がなかった。
家風だとかしきたりだとか・・・面倒くさいと思ってた。
当時世の中は3高ブームだった。
そういうお気楽な安易な結婚は純粋ではないと感じていた。
そう。私は無知だった。
・・・・・・・・・・くもの巣を払いよけようと手をのばせば、その手にからみつくくもの糸・・・・・・・・
その恐ろしさを知らなかった。
これは宗教に起因するのだろうか?
○○国の風習なのだろうか?
夫のファミリーだけの話ではなくまったく別のところからも聞いた話。
戦時中の日本にもあったらしい・・・
概要は
夫が亡くなったらその嫁は実家に戻るのではなく、夫の兄弟(親戚関係?)と婚姻をすることを望まれる。
真偽は私のイスラム教の乏しい知識ではわからないけれど、もし本当ならばおそろしい。
義父の兄が幼子3人を残して病気で亡くなった。
その3人の子供は夫と兄弟のように育てられた。
残された母(義父の兄嫁)と義父との結婚話が持ち上がったのだが、義母は猛反対したからその話がながれたと義母自身が語った。
それはそうだろう。反対するだろう。
子どもの母親は子どもを手放して実家に帰った。
兄弟同然に育てられた幼子3人のうちの1人(S)と夫は結婚することが祖父によって決められていた。
それなのに夫は私と結婚してしまったために彼女は自殺を図ったとか図らなかったとか・・・。
義父と義母が夫に勧めた。
彼女とも結婚してやれと・・・
結局夫は断ったと、ずっと後で聞いた。
そんなこととは露知らず、
二度目の訪○○国で、言葉も何も分からず、まだ生後6ヶ月だった赤ちゃんを追い掛け回していた私は、彼女とも仲良くしていた。
義母が薄笑いを浮かべながら私に言った。
”彼女(S)を日本に連れて行って”と。
Sは言った。
”私、あなたと仲良くするから。赤ちゃんのことも大好きだから”
何も知らない私は、夫に伝えた。
”Sちゃん、日本に行きたいんだって”
お手伝いさんに来てくれるとばかり思ってた。
これは夫のファミリーと関係のないところの今のおはなし。
ご主人を亡くされた彼女には二人のお子さんがいらっしゃる。
ご主人の弟は長期にわたってオーバースティで、働いている。
彼は夫に頼んだ。
兄嫁と結婚したい。
夫は私に頼む。
彼女の気持ちを聞いて欲しい。
げ・・・・・・・・・・・・・・・
吐き気をこらえて、冷静さをもって夫に聞いた。
”どういうこと?”
”○○国では普通そういう風に考えるよ”と
身の毛のよだつ答えが返ってきた。予想通り。
子どもがまだ1人で赤ん坊だった時に、
突然夫がポツリと言った。
”僕が死んだらアイシャは○○国へ行って。僕の家族が面倒を見るから”
あの日から、
夫が死ぬのが怖かった。
同居していたおじさんは実家を知っていたから。
逃げられない・・・。
夕方、
現場仕事から帰ってくる夫を不安な気持ちで待った。
夫が死んだら、○○国行きだなんて、死んでもイヤだ。
げ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結婚したい理由がこれまた泣かせる。
残された二人の子どもを立派なイスラム教徒にするために(日本人の母親1人ではむずかしいから)結婚するんですと・・・・・。
でも・・・・・・でも・・・・・・聞いちゃったのですけれど・・・
その当事者の弟さんのこぼした愚痴を・・・・・・・・・・・・
ご主人のご両親は
彼女が受け取った生命保険金を一銭も渡さないことに不満をもっているということを。
口が裂けても言えない彼らの本音
いくらどんなきれいな言葉で飾り立てようが
彼女と結婚すればビザがもらえること。
生命保険がもらえること。
それが目的あることは
明白ですから・・・・・
だから、愛のキューピッドにはなりませ~~~~~ん!!!!!!!
せっかく自由になれた彼女を閉じ込める気は私にはありませんから。
執拗にまとわりつく、くもの糸を感じたことはありませんか?