「水源」237ページ下段 より引用開始
3日目の晩、キャメロンは枕を背もたれにして、いつものように話していた。しかし、言葉はゆっくりとしか出てこなかったし、頭を動かすこともなかった。ロークは、キャメロンの言葉にじっと耳を傾ける。
キャメロンの話が途切れる恐ろしい間に、何が進行しているか自分でわかっていることを、キャメロンに見せないように神経を集中する。
キャメロンの言葉は、いとも自然に聞こえる。しかし、その自然な言葉を発するのに、どれだけの力をふりしぼっているかは、キャメロンが最後まで隠したいことなのだ。
***中略***
それからキャメロンは長い間、何も言わなかった。再び、目を開いたとき、キャメロンは、微笑んだ。そして、こう言った。
「俺はわかっている・・・お前の事務所が、今どうなっているか・・・」
ロークは一度も、その件についてはキャメロンに話したことがなかった。「いいんだ・・・否定するな・・・何も言うな・・・わかっている・・・しかし・・・それでいい・・・恐れるなよよ・・・俺がお前をクビにしようとした日のことを覚えているか?・・・あの時、俺はお前に言ったことは忘れろ・・・あれで話は全部だったわけではない・・・これは・・・恐れるな・・・それは戦うだけの価値はあった・・・」
キャメロンの声が途絶えた。もう彼は声を発することができない。しかし、ものを見る機能だけは、まだしっかりとしている。キャメロンは静かに横たわり、ロークを見つめている。苦しむことなく、ロークを見つめている。
一時間後、彼は死んだ。
引用終わり