「水源」262ページ上段 より引用開始

月曜日の午後遅く、電話が鳴った。ヴァイデュラーだった。「ロークさんですか?すぐにお越し願えませんか?電話では申し上げたくないものですから。すぐに、こちらにお越しください」
彼の声は、明るく陽気で、j輝かしいほどによい知らせを予告する響きだった。
***中略***
「やあ、ロークさん設計料はあなたのものですよ」と。
ロークは頭を下げた。数分の間は、ヴァイデュラーの言ったことを信じないほうが最上だ。
***中略***
「・・・で、設計はあなたにお任せすることになったわけですが、ひとつ小さい条件があります。」ロークは、その言葉を聞いた。
彼は頭取の顔を見る。
「ちいさな妥協ですよ。あなたが、それに同意して下されば、すぐに契約書を取り交わすことができます。」
***中略***
「ロークさん、お引き受けくださいますか、それともお断りになる?」
ロークは、頭を上げる。目を閉じる。
「お断りさせていただきます」


引用終わり


「水源」260ページ上段 より引用開始

キーティングは、札入れを取り出して、あらかじめ署名してある1枚の小切手をそこから引っ張り出す。それを机の上に置く。その小切手には「ハワード・ローク宛・・・合計500ドル」とある。

「ありがとうピーター」と、ロークは、その小切手を受け取りながら言う。
それから、ロークは、その小切手を裏返しにして、万年筆を取り、それにこう書く。「ピーター・キーティング宛」と。それから署名して、その小切手をキーティングに渡す。
「ピーター、これは君江の僕からの賄賂さ。同じ目的で出すよ。絶対にこの件については黙っていてくれよ」と、ロークは、言う。

キーティングは、ぽかんとロークの顔を見つめる。ロークはこう言った。
「今僕が出せるのは、これがせいいっぱいだ。今のところは、君は僕に何も要求できないよ。しかし、将来、僕に金ができたら、どうか僕をゆすらないでくれと、僕の方が君に依頼することになる。はっきり言っておくが、君はそうできるよ。あの建物の設計に僕が関与したなんて誰にも知られたくないよ。僕は」


引用終わり

「水源」256ページ下段 より引用開始

「やあ、ローク」と、ピーター・キーティングは言った。
ロークは目を開けた。キーティングが事務所に入ってきて微笑みながら彼の前に立っていた。
***中略***
キーティングは、ロークの目がうつろでもなく嘲笑的でもなく、ただ、怪訝そうな不思議そうな色をたたえているのに、気がつく。それは、ロークという人間にしたら、ある書の降伏に近いものだった。なぜならば、ロー口お言う人間は、彼の目の中の鉄のシートを落としたことがなかったっから。

不思議そうな好奇心のあるような目など自身に許したことがなかったから。そのときのロークの目はどうしようもないなあと告げているようなまなざしだ。

「ねえ、ピーター。君の結うことを信じるよ。そんなこといっても、君に何の益もないことは僕にもわかる。それ以上のことだって僕にはわかる。君が僕に成功してもらいたくないと思っていることは、僕にはわかっている。いいんだ、僕は君を責めているわけではないから。いつだって、それはわかっているから。

はさっき僕に言った。金だの何だのを、僕が手に入れるのは、君が望んでkることとは違う。なのに、君はそれを手にいtれるように僕に奨めている。とても真剣にね、もし僕が君の忠告に従えば、僕はそういうものを手に入れるだろうと君はわかっている。君が僕にあれこれ忠告するのは、僕に対する愛情からじゃない。

なぜならば、それならば、君を怒らせはしないからな。そんなに怯えさせはしないからな・・・ピーター、僕が今の僕でいることで、君にとってさしつかえがあるとしたら、それは何だい? 」

引用終わり