とっても嬉しいこどがあった。

昨夜の出演歌手、杉原さんが

とても懐かしいお客様を呼んで下すった。


僕が20代で

シャンソニエ、新橋アダムスで

アルバイトをしていた時から

存知あげてる方だ。


飛び上がるほど、嬉しい夜。



その頃、座れるカウンターは2席しかなく、

だいたい歌手の待機場所になっていたけど、

その方がいらっしゃると、

歌手を追いやって、

マスターが座らせていた。


ブランデーグラスをころがしながら

飲むのを鮮烈に覚えている、

カウンターにお客様が座るのは、

作業を観察されているようで嫌だった。

若い僕は、きっと無愛想だったかもしれない。



それから何十年もたって、

歌っている場所で再会しますが、

そのお店を辞めてしまったので、

お会い出来なくなっていた。


僕は、お尋ねしたことはないが、

ご連絡先をどなたにもお知らせしないそうだ。

お店を初めるにあたって、

他店をやめるのに、

僕は、そこで宣伝はしなかったし

それが僕の美学であるし、

そういう時代だった。


SNSの時代だからかもしれないが、

いつのまにか

歌手とお店や僕のお客様が

連絡先を交換している。

どなたからいただいたご縁かは

関係ないようである


この日のことは、

亡きマスターからのご縁である。

荒井洸子さんのご縁で

マスターをご紹介いただいた。

そこで、杉原さんもそのお客様にも出会った。



歌うお店辞めたあと、

そこのお客様には、

当然、歌うご案内などはさしあげなかった。

あたりまえだと思っていた。


店をやって

今は、出ていない歌手が、

出演のご案内を

 Paris Kidoriのお客様に

お知らせしているこや、

他店でもコトワリなく

自分のお客様に

ご案内している歌手のスガタに

ココロを傷めてきた。


それは、自分の弱さで

もうそんな時代じゃないんだからと

といい聞かせていたが、

僕なりに

シャンソニエで歌っていく

調和を守ってきたつもりだが、

そんな過去さえ無駄だったと。

最近は、全てに疲れきっていた。


そんな絶望感のフチで


「アイザワがんばれ!」


とマスターに言われたような夜だった。


杉原先輩に感謝。

そのお客様に感謝。

亡きマスターに感謝。

荒井洸子さんに感謝。

皆さまに感謝。