最近のことではないが疲れている。
 Paris Kidoriというお店をもって
嬉しいことは、
歌手として、毎日の様に歌える。
若い才能の成長を、間近で見守ることができる。
お客様の喜んでいただいているのが
ダイレクトに伝わってくる。

でも、店の運営は、数字とにらめっこしたり、
出入りの業者さんに時には、
しかりつけたり、交渉力も必要だ。

音楽の店は、本当に儲からない。

狭い空間を共有して、
音楽を楽しむには、
お客様に依るところが大きい、
音楽を聞こうとする姿勢があるお客様が
必要だ。
大劇場に行くとき
大部分の人が鑑賞だけを目的としてやってくる。
お酒が飲めるということもあるが
いろんな楽しみ方をしたいお客様が、
やってくる。

ご近所さんのお店に
お客様をご紹介していただくことは稀である。
こちらも軽はずみには紹介しない。
なぜならば、
紹介する店がそのお客様の振舞いを保証することになるからだ。

紹介していただいたお客様がいらしてくれたら、
時間が経っても、かならず、
紹介していただいたお店に
伺って、ご報告する。
まだ、ウチのお客様ではなく、
〇〇のお客様という認識だからだ。
だから、そのお客様がいらしても
歌を聞いていただける喜びはあるが、
トウブン儲からない。
さらに、そのお客様がどこかの店主を
お連れいただいたなら、
スタッフを連れて、
そのお店をお尋ねする。
長いお付き合いをしていただきたいと
思うからこそだ。

そんなお客様から
出演者が名刺をいただいて
他の場所のライブに
来てくだすったら、
店主に当然報告すると思っていた。
違うようだ。

昔、共演した大先輩が、
藍澤くんのお客様にフライヤーを
お渡ししてもいい?
と尋ねられて、
そういうものなんだと認識した。
最近は、断りもなくバラマキ、
さらにワタシにフライヤーを渡した若手がいた、
ウチの店のコなら、張り倒しているが、
冷たいので、ほっておく。

バイトしていたシャンソニエで
ある歌手のお客様が
違う歌手の日だけ来るようになったとき、
マスターがまずは、その歌手の日にいらして、
それから、ほかの歌手を応援して下さいと。

仁義を歌手にも、お客様にも求めた。
お客様は、基本自由であるし、
古いのかもしれないが
でも僕の店は、継承したい。
それもシャンソニエ文化の一端だと
思っている。
だから、不義理な歌手には去っていただく。

ライブ終了後、
お客様が、どっか行きたい、
みんなで行こう。
どこかないと聞いたらしく、
あるピアニストが気をまわして
以前、僕がそのピアニストを連れて行った店に
といいだしたので、あわててごまかした。

まず、ウチの若手は、
店外のお客様とのお付き合いは、
禁止している。
ホステスやホストではない。
また、すでにかなり酔っているお客様を
他店にお連れするのもダメだ。
そのお店に迷惑をかける。
お客様がお帰りになった後、
説明したら、わかってくれた。

僕は、そんなことを
誰かに教えられたことはない。
先輩を見て、
そういうものかと。

人を怒ったり、注意したり、
元来向いていない。
その度に、ココロが折れそうになる。
いい年のオッさんが
時には泣いてしまう。



もう僕の化石化が進んでいるのかもしれない。