少しずつ 少しずつ おじいさんのお店からおもちゃが旅立って行きます。
おもちゃを抱えてお店を出て行く子供たちを、おじいさんはニコニコしながら見送ります。
とうとうお店には人形とおじいさんだけになってしまいました。
「今日はこれぐらいで閉めるか。」
おじいさんは帰り支度をし、お店を見回し
「とうとう お前さんだけになってしもうたのう…」
そう言いながら人形を優しく持ち上げ、抱きしめました。
しばらく人形を抱きしめていましたが、人形をいつもの特等席に座らし、
「じゃあ さようなら。明日もよろしく」
と言ってドアから出て行きました。
今夜は月は出ていません。
しかし空では星がキラキラ輝いています。
星空を眺めながら、人形はいろんなことを想いました。
「とうとうこのお店にあるおもちゃは僕だけになってしまった。 もうおじいさんも新しいおもちゃを作らなくなってしまったし…
きっとそのうち僕も どこかの家の子供の所に旅立って行くんだろうなぁ…
僕はずっとおじいさんと一緒にいたいのに…
どうして僕は人形なんだろう…
どうして人間の子供としておじいさんと出会わなかったのだろう…
そうすればおじいさんとたくさんお話もできただろうに…
お店のお手伝いもできたのに…」
人形は前におじいさんから聞かせてもらった不思議なお話を思い出しました。
その内容は 人形が神様にお願いし、人間の子供になるというお話です。
人形はその話を思い出し 自分もと思い 夜空に向かって祈りはじめました。
「神様、お願いです 。 僕を人間の子供にしてください。
僕はおじいさんともっとずっと一緒にいたいです。
どうかお願いです。 神様、お願いします…」
一晩中ずっと祈っていました。
つづく
