彰太(あやた:孫、生後2ヶ月弱、好奇心旺盛)
ぴぃ(長男、中学3年生の2学期、性的好奇心旺盛)
あぅぅ(長女、22歳、彰太の母、食欲旺盛)
美幸(嫁、48歳、暴力旺盛)
ばぁば(ぴぃ・あぅぅの祖母、痴呆旺盛)
ヤムチャ(ザコキャラ、公式の戦いで勝ったことがない)
「どうしても出ていくっちゅうんか?」
「うん」
このやりとりがもう2時間も続いている。
「彰太、可愛いくないんか?」
「そりゃ、可愛いけど… … …」
言葉を詰まらせるあぅぅ。
パンツ一丁でうつむいて正座しているので、説得力など皆無だ。
「でも、京橋に行かなアカンねん」
「あ?京橋」
。
「もう行く!」
語気も粗く立ち上がろうとするあぅぅの手を掴み阻止しようとする。
しかし、スタープラチナの動きより早くその手を払いのけるあぅぅ。
パンッ!!
払いのけられた手をクルリと反転させ、その手はあぅぅの頬を捉えた。
昔からヤンチャを繰り返し、幾度となく平手打ち、ゲンコツを受けているあぅぅにとって大したことではないが、今回は事情が違う。
愛する我が子を置いてまで出ていくという、事の重大さ・罪悪感から泣きながら立ち上がり走り去ろうとする。
すぐさま、二発目のビンタを放とうとする俺の腹部に鈍い痛みが走る。
嫁、美幸のボディブローが胃液を逆流させ、その場に膝をついて崩れ落ちる俺。
倒れている俺を跨ぎ、暴れる狂うあぅぅの髪の毛をむんずと掴みずるずるとベランダ(約半畳、手入れしてない為、草木が多い茂っている)に引きずり出す美幸。
俺は、ボディブローのダメージでグルグルと回る天井を見ながら「パンツ一丁なのに」と思っていた。
しばらくは木のドアの向こうから叫んでいたあぅぅだったが、そのうち静かになった。
しかし、その静寂を破る「木をへし折る音」と同時に木のドアを破壊してあぅぅが室内になだれ込む。
家族全員が言葉を失う。
それは、ドアを破壊したあぅぅのパワーでもなくその執念でもなかった。
全身にベランダに茂っていた木々葉っぱをまとい、肩からボロ布のような物を羽織り、右手には木の枝で作った槍のような物を持ってそこに立っていた。
さながら、スターウォーズに出てくる「イウォーク族」のように見えた。
家族全員が固まる中、ばぁばが、「あぅぅちゃん、それやったら風邪ひかへんでエエわ~」と空気を全く無視した言葉を投げかける。
ちなみにばぁばは最近、一回の食事中に同じ話を三回はする。
そんな家族の脇をスリ抜け玄関の方に走り出すあぅぅ。
階段を駆け下り、玄関を出て辺りを見回すが、そこにあぅぅの姿を見つけることはできなかった。
「これで何回目やねん!お前の人生って~!!」
周りをはばからず大粒の涙が頬を伝い、地面を両手で叩いて娘の、そして孫の人生を憂う。
辺りを静寂が包み、陽も西へ傾き秋の風だけが冷たく吹いていた。
倦怠感と絶望感が現実のものになりつつあったその時、不意に携帯電話が鳴った。
長男ぴぃからだった。
「お前、こんな時にどこにおんねん!」
ついつい、関係のないぴぃにまで怒り口調になってしまった。
「なんすか?なんすか?インドのパンはナンすか~」
能天気かつ頭の弱い返しにイラッとする。
「だからぁ~、どこにおんねんって!!!」
「ああ今、日本橋。参考書と今の遅いPC用のSSDを買いに…」
そこまで話したところで後ろから人の声が聞こえた。
「お帰りなさいませ~ご主人さま~」
メイドカフェだ。
「お前、メイドカフェにおるやろ!」
「んな訳ないやん。俺はこうし… ……あ、俺、【まぜまぜ♪めんたいくりぃむすぱげってぃ】と【ろりっこサンデー】で」
どんなチョイスやねん。
「とにかく早く帰ってこい」
俺はこれまでのいきさつをぴぃに話した。
するとぴぃはさっきまでの能天気な口調とうって変り、静かな口調で語り始めた。
「ウチで飼ってる子ゴリラ、おるやろ、あの子ゴリラな…」
時折、鼻を鳴らしだんだんと涙声になってゆくぴぃ。
「あの子ゴリラの投げてくるウンコを毎朝ねぇね(あぅぅ)は顔面で受けてんねん」
「はぁ?」
「あの子ゴリラの極悪なまで強靭な筋力から放たれる球速160km以上の弾丸ウンコを毎朝ねぇねは顔面で受けてんねん。そんな瞬間をオレは毎日カメラで激写して「やっぱいいわキャノン」と子ゴリラに呟いて、しかも子ゴリラの大好きなオモチャであるタイヤをパンクさせる。そうしたことによって子ゴリラの怒りは頂点に達し、怒りで我を忘れた子ゴリラはウンコをねぇねに投げてくる。パッチーン!と心地よい破裂音と共に遠のいていく意識、ひしゃげる鼻、ゆがんでゆく頭蓋骨、ほとばしるウンコ。そんな毎日が嫌で京橋に行くって言ってた…ぐすん」
「一番悪いのはオマエやんけ」
そう言いながら俺は大粒の涙を流し続けた。
そこで眼が覚めました。
本当に大量の涙が枕を濡らしていました。
さてここで問題です。
今回の記事の中に「ウンコ」という単語は何回出てきたでしょう








