妖怪 「ぬっぺっぽう」をご存知ですか? | 伊豆高原「怪しい少年少女博物館」のブログ

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レトロで可愛くて気持ち悪い。伊豆高原「怪しい少年少女博物館」の展示品などを紹介します。





怪しい少年少女博物館1階左手奥の食玩のコーナーに展示をしているTOMY 大映特撮シリーズ2の「ぬっぺっぽう」のソフビ人形。マルサンによるレトロタイプ人形と箱書きにありますが、縮小して復刻したもので、2001年頃の物です。正面から見た所
 




向かって右手側から見た所。血管を思わせる筋が入っているのが分かります。高さは約8.5cm。「ぬっぺっぽう」は1968年公開の「妖怪百物語」と「妖怪大戦争」に登場しました。子役が入って演じられ、熊本弁を話すと言う設定だったようです





背中側から見た所 ソフビ化された訳ですから、当時、人気があった妖怪と言えるのかもしれません。「ぬっぺっぽう」 はキモかわいい妖怪と言えるかもしれませんね
 




足裏に2001年 TOMY ©大映の刻印が入っていました
 




食玩の展示棚の中に他の大映特撮シリーズのソフビ人形と一緒に展示をしています
 




当ブログで度々取り上げているフルタ製菓 百鬼夜行 妖怪フィギュアコレクション第一弾 NO2 「ぬっぺっぽう」の食玩フィギュア。通常彩色版です。 製作総指揮 竹谷隆之 原型制作 五島 純 で食玩の傑作、さすが海洋堂です。正面左手から見た所
 
 
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高さは約7.5cmと小さいのですが、空間の広がりを感じさせ、存在感のあるフィギュアです。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に描かれた「ぬつへふほふ」をベースに立体化した物と思われます
 




背中側から見た所。下半身がはっきりと、お尻の造形になっているのが分かります
 




こちらも同フィギュアの通常彩色版ですが、後方の木の柵が黒っぽい彩色になっているのでアップしました。男性器に女性器、おっぱいにお尻を組み合わせたような造形でフロイトの影響を受けたシュールレアリスムを思い出させる造形です
 




背中側から見た所。廃寺の設定と言う訳で、手前側に墓石が倒れています
 




こちらは同フィギュアの蓄光バージョン





背中側から見た所。墓石がヨーグルト味のチェルシーみたい?です
 

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三種類並べて展示をしています
 




2階右手奥の妖怪のコーナーに展示をしているユージン製 大映特撮シリーズ「妖怪百物語」の「ぬっぺっぽう」の食玩フィギュア


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こちらは同コーナーに展示をしている妖怪舎製 水木しげる監修 妖怪フィギュアコレクションの「ぬっぺっらぽう」のフィギュアで、高さは約6cm。照明が暗めの所で奥の方にある為、上手く写真が撮れず、すみません
 




水木しげる氏が描いた「ぬっぺらぼう」。昭和40年代の少年マガジンの口絵からお借りしました。フルタ製菓の食玩同様、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に描かれた「ぬつへふほふ」を踏まえた物と言えます
 
「古寺にすむ肉のかたまりのような妖怪で、死者を食べるといわれている。 だが、じっさいはよくわからない。」という解説が入っています



 



1968年公開の大映の特撮映画「妖怪大戦争」に登場した「ぬっぺっぽう」左端。 モノクロ写真ですが、実際はカラー作品です

「心霊怪奇博物館」 山田誠二著 データハウス刊より 



「ぬっぺっぽう」 ってどんな妖怪 ?

「ぬっぺっぽう」には、「ぬっぺふほふ」、「ぬっぺほふ」、「ぬつへふほふ」、「ぬつへつほう」、「ぬっぺらぼう」等微妙に異なる様々な呼び名があります

「ぬっぺっぽう」は全身が肌色で目鼻はないのですが、顔のような皺があり、一頭身の肉塊に手足が生えたような姿をしています。シンプルですが、一度見たら忘れられないようなインパクトがある妖怪と言えます
 
「ぬっぺっぽう」を「のっぺらぼう」の一種とする人もいます。また「のっぺらぼう」は現在、顔に目鼻がない妖怪として知られていますが、元々は顔と身体の区別がつかない「ぬっぺっぽう」のような妖怪の事を指していたと言う人もいるようです

廃寺等に夜出てくる妖怪で、死者の肉が勝手に歩くのだとも言われ、屍のような臭いがするという話もあります

どんな目的で夜に散歩するのか謎で、別に人に危害を加える訳でもないようですが、人が驚く姿を見て、さも満足そうに、あてもなく歩くのだと言います
 
また年老いたヒキガエル、狐や狸が化けた妖怪とする書物や、死人の脂を吸い、昔は医者に化けていたが今はそのまま出てくる等とホラー色が強く書かれている物もあるようです
 
 
水木しげる氏による「ぬっぺっぽう」の話
 
ある僧が、野宿するよりましだと廃寺に泊まった所、夜中に物音がして目を覚ますと、何処からか屍の臭いがしてきたそうです

廊下を見ると、ぽとぽとと歩いて来るものがいます。「どなたですか?」 と声をかけてみましたが、返事はありません。よく見ればそれは肉の塊のような物で、僧はびっくり仰天したと言います

「ぬっぺっぽう」 はやがて寺を出て、町の方に歩いて行ったそうです


「ぬっぺっぽう」 の正体をフロイト流に解釈する ?

私がこの妖怪について思うのは、「何だかフロイトが、とっても喜んでツッコミそうな造形の妖怪だなぁ」 ということです

フロイトは19世紀末から20世紀の前半に活躍をした精神分析学者ですが、人間の深層心理に深く「性」が絡んでいることを指摘し、世界に衝撃を与えました

人間の行動が、無意識の内にセクシャルな物から多大な影響を受けている・・・上品にとりすましてきた人は、びっくりした訳です

フロイトはダリをはじめシュールレアリスムの画家たちにも多大な影響を与えました

ダリは自分の作品や歴史的名画をフロイトの理論に基づいて解説したものですが、「ぬっぺっぽう」 の造形は、男性器と女性器におっぱいそしてお尻を合体、そして生殖行動の結果としての赤ん坊を連想させる所があるように私は思います

禁欲し、溜まりに溜まった?僧侶が廃寺にびくびくしながら一人寝をする。 その時に見たエロとホラーが入り交じった淫夢が「ぬっぺっぽう」の正体・・・と考えてみるのも、面白くはありませんか?




 
 
オーストリアの遺跡で発掘され、ウイーン自然史博物館に展示されているヴィレンドルフのヴィーナス像。2万4千年前から2万2千年前の物。 ちょっと「ぬっぺっぽう」 っぽくない?
 


 
シュールレアリスムの画家ルネ・マグリットの1945年の作品「凌辱」
 
「フォ~ フォッフォッフォッ フォ~ ! 」

こりゃあ 最悪の悪夢だね~ これもちょっと「ぬっぺっぽう」 っぽいかも?

 

 


初めて風俗に行った男が遭遇した「ぬっぺっぽう」 ?

私が「ぬっぺっぽう」で思い出す事には、もう一つあります。それは、以前働いていた会社の同期の男が言った言葉です。その男は早稲田を出たのですが、初めて風俗に言った時の事を、こう語ったのです。「わくわくして風俗に行ったんだよ。そしたらさぁ ただの肉のか・た・ま・りだったんだよ !」

これにうなずく男たち複数。 「そうだ、本当にそうだ。 彼は正しい ! 」

ロマンチックなものを、ちょっとは期待していたのに、お金で買った疑似恋愛の結果は「 肉の塊 」という現実でしかなかった・・・

あ~ 悲しい  !



次回もお化けや妖怪ネタが続く予定です !