小学生の頃のこんな記憶があります。
私は当時、小学校4年生でした。
下校時に、当時の私から見てとても大きな犬(柴犬のようなタイプです)が現れ、私がその日着ていたベストの前にガブッと噛み付いて、ぐいぐいと下り坂の方へ引っ張るのです。
全然怖くありませんでした。
「この犬、私をどこかへ連れて行こうとしている」
と思いました。
そのまま犬について行こうとすると、周囲で下校していた同じ学校の男の子たちが、私が犬に襲われていると思い、慌てて犬を引き離して
「逃げろ!」
と叫びます。
いや逃げろと言われても、その犬私に用事があるみたいなのよね……
と思ったのですが、男の子たちは必死に犬を通せんぼしながら、私に逃げろと言うんです。
何となく、逃げないと収まりがつかなくなって逃げました。
当時は戦隊モノとかヒーローものが主流で、男の子たちはみんな正義の味方でした(笑)
確かに傍目には犬に襲われているように見えたと思うので、助けてくれたその好意も嬉しくて、無にしたくなかったんです。
家に帰ったら、ひな祭りが近かったみたいで、母親がお雛様の準備をしていたんです。
子供の頃から、私は周囲の人の意向に呑まれてしまう癖があるみたいですね。
犬は私の手も足も噛んでいません。
洋服を引っ張って、一緒に来て欲しい場所があっただけのようでした。
今でも、ふと、あの犬は私に何を伝えたかったんだろうかと、思うことがあります。
……まさか、子犬が溝に落ちて怪我をしているから助けて欲しいとか、そんな内容だったら申し訳なかったかも。
ごめんね。
もっと、自分自身の意思を押し通せるようにならなくちゃね。