【感想】 ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語 / 櫛木理宇先生 | 活字大好き本のむし 綾乃の本のつぶやきブログ

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そんな好きな本の感想などを字数にとらわれず、つぶやいていくブログです。

今回は百物語、ウィッチハント、呪われた能面の3話でした。
 
百物語。
シリーズ準レギュラーになりつつある、女の子2人が同居しているマンションの展望フロアーで、花火を見ながらの百物語会。
実子と養子の兄弟の確執から生まれた弟の生霊と、兄弟と関係があり事故で意識不明の男子学生が百物語会に参加と言う、見える人には気になって怪談どころではなかったようなお話しでしたが、最後には2人共救われて良かったですね。
今回は、意識不明の男子大学生の目線で語られていたので、森司達が動かなければ最後まで、生霊となった彼目線での語りだとは気づかないままでした(^^;;
ネットでは、没ネタを寄せ集めた百物語じゃないかと言われていたようですが、全て新ネタとの事でしたし(櫛木先生談)、どこかで聞いたようなお話しにも感じられましたが結構ゾッとするお話もありました。
 
ウィッチハント。
市民サークルで作られた中世のお城のジオラマ、その地下の拷問部屋に置かれた拷問器具通りに、サークルメンバーが襲われて行く話で、拷問部屋や魔女狩りに関係した心霊物かと思ったら、ゲストキャラによる代理ミュンヒハウゼン症候群、モラハラ、子供への虐待と人間のドロドロした部分が浮き彫りになったお話でしたが、今回オカ研に相談を持ちかけた女性と、ゲストキャラの被害にあい亡くなった幼なじみの青年との約束が、青年の死後であっても叶えられたのが唯一の救いでした。
出来れば、青年が亡くなる前に約束が叶えられていたら、もっと良かったのにと思いました ( ̄^ ̄゜)
 
呪われた能面。
祖父の家を引き継いだ三兄弟が、小面、尉位面(翁面)と鬼面の3面のによる呪いを受けるお話しでした。
小面や尉位面て家に飾られていることもあり、普通に見慣れている能面ですが、それでも見ようによってはとどこか怖いのに、今回登場した能面は目の部分が金色の塗料(金泥)で塗られているし、能面作りに取りつかれ亡くなった能面作家の念が篭ってるわ、次兄が起こした事故によって、息子を無くした父親による丑の刻参りまでが重なって、ゾワゾワするような怖さが漂ってきました。
昔、家に小面と尉位面があったのを思い出し、夜怖くて眠れなくなりそうでした(^^;;
 
今回の3話とも心霊現象ものとして、それぞれに怖さはありましたが、やはりどの話にも共通して感じたのは、生きた人間の怨みや情念と言うものの方が、心霊現象よりもよほど怖いと思ってしまうお話でした。
もちろん心霊現象も、実際に体験したら怖いと思いますけどね(^^;;
 
森司とこよみの仲は相変わらず中々進展せず、モヤモヤとしたまま今回も終わってしまうのかと思ったら、 ほんの少しだけ新展開が。
 
森司にとってトラウマとなった人物と言える、高校の陸上部の鴻巣コーチが登場。
雑誌のベストカップルとして、写真が乗ったことに浮かれている森司に対して痛烈な批判を浴びせかけ、あわやトラウマが再発?と言う感じになりかけましたが。
泉に好きな女の前で弱い所を見せるなと、激を入れられた事をきっかけに、鴻巣コーチとの蟠りを解消して、こよみに相応しい人間になれよう努力することを決意します。
 
そして自分が納得出来る人間になれたら、伝えたいことがあると言い、小さな小さな1歩を踏み出した森司と、彼の言いたいことを理解し待つことを受け入れたこよみ。
 
小さいながらも確実に前進した2人の仲、森司がこよみに告白する日はそう遠くなさそうですが、いい加減このシリーズも長くなり随分と2人の中を引っ張って来たので、そろそろビシッと決めて欲しいです 。
森司の意気地の無さもですが、こよみの気の長さにもそろそろ決着を付けてほいしので(^^;;
 
次巻、さらに2人の仲が進むことを期待しています。
 
 
内容(「BOOK」データベースより)
 

夏休み。草食系大学生の森司は、オカルト研究会の皆と、セレブなマンションのラウンジで花火大会を見ることに。片想いのこよみの隣に座り、リア充すぎる状況だけど、真の目的は百物語。誰もいない筈の場所にカメラの顔認識表示が出るA子、「親父の臭い」に縛られる一家…。背筋も凍る話が続く中、参加者に異変が…!!ほか、呪いの能面など、怖すぎる話が満載!森司とこよみの恋模様も堪能できる、青春オカルトミステリ第14弾!

 

KADOKAWA (2018/10/24)