【感想】 つつじ和菓子本舗のこいこい 鍵屋の隣の和菓子屋さん / 梨沙先生 | 活字大好き本のむし 綾乃の本のつぶやきブログ

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本を読むのがとにかく大好きです。
そんな好きな本の感想などを字数にとらわれず、つぶやいていくブログです。

シリーズ2冊目。 
今回は多喜次の夢のお話から始まる、4話の連作短編+序章終章の6話となります。 
 
今回は2話がとても印象的でした。
 
第1話の店の主人祐が連れてきた自殺志願者の小林さん、目を離すと直ぐに自殺しようとする彼をほっとけない熱血漢の強い多喜次。
そんな多喜二と小林さんのことを見かねた祐は、店に小豆を納めている高齢者夫婦の農家さんの元に、何も言わずに預けてしまいます。
いきなりの事に戸惑いながらも、夫婦で農作業をしていることに驚いた2人は、色々な話を聴きながら馴れない農作業を手伝っていきます。
 
小豆を栽培している畑は、毎年同じ土地を使っていてはダメだし、手をかけたからと言って、良い小豆を作ることは出来ない。
人間も同じで、働きすぎれば身体を壊してしまう。
何事にも手をかける部分と、適度に力を抜く事が大切だと言う、人生の大先輩からの哲学的な話を聞き。
夫婦が育てた小豆で作った素朴な味のおはぎを食べながら、憑き物が落ちたように自分の心が疲れていたことを知り、これからは心を豊かにするために、小豆農家を継ぐ決心をした小林さんのお話しともう1話。
 
神社でのお茶会で出す予定だったお茶菓子を配達中、境内を走り回る子供を庇ってお菓子を落としてしまい、半部以上をダメにしてしまった多喜次。
気難し屋の宮司の榊の嫌味にも何の言い訳もせず、少なくなってしまったお茶菓子の代わりを用意する時間もない、榊が支払おうとした代金を受け取らない代わり、急遽お茶会に出席しなければいけなくなったピンチに、たまたま水屋にあった水菓子(梨)をとっさの方便でもってお客に進め、また原因となった子供と母親に罪悪感を感じさせないよう、事態を丸く収めるお話し。
 
 この2話です。 
 
特にお茶菓子を落としてしまったことや、榊の叱責すらない言葉って多喜次にとって相当な不安だったと思いますが、それでも失敗を言い訳にせず嘘も方便、職人としてと言うよりも1人の人として、成長した多喜次の姿に感動しました。
 
今回初登場でマダムにとても人気の粋な宮司の榊さん、気に入った者ほど意地悪をしたくなるような人のようで、多喜次も気に入られたみたいですが。
それ以上に結婚式の日取りで攻められる、淀川さんとの関係が気になりましたね(笑)
何がどうして、淀川さんにとっての天敵とも取れるような存在となったんだろう? 凄く気になります(笑)
 
他2話の、片思いの相手に告白をするかどうかで悩み、フォーチュンクッキーを求めて(和菓子屋さんにフォーチュンクッキー? と思ったら、期間限定で発売してた(笑)) 飛び込んできた女子大生が、和歌にちなんだお菓子で告白するお話や、和菓子作り体験で、前回登場した飛月少年が、この年頃ならではの好きな子いじめお話しももちろん面白かったです。
 
 
主役3人に関しては、多喜次は職人としての技術も知識もまだまだ柴倉に劣りますが、色々なことを経験することで、今回も少しずつ成長していく様子が見れました。
 
祐雨子を巡る3角関係は相変わらずですが、祐雨子の天然小悪魔っぷりがパワーアップしていて、年下の男の子二人がますます翻弄されているような(笑)
 
まあ、祐雨子本人は天然でやっているし、多喜次もどちらかと言うと天然なところがちょっとだけあるので、柴倉のことを気にしつつも本気になり始めたことに気づいていないのかな?
夢の中ように誰かに祐雨子を取られないよう頑張って欲しいので、次巻も多喜次の頑張りに期待したいですね(^^)
 
そして、柴倉も祐雨子への思いが徐々に本気になってきているので、まだまだ3人の関係から目が離せそうにありません。
 
 
おまけで、和菓子屋の隣の鍵屋の2人もほんの少しだけ登場していました。
淀川さんの婚約者となっても、些細なきっかけで尻尾を膨らませて警戒する子猫のようなこずえと、そんなこずえが可愛くて仕方がない淀川さんの様子が懐かしかった。
また、2人のその後のお話も少しだけ読みたいです(^^)
 
 
あと小林さんのお話しで、おはぎの呼び方の話題が出た時に。
春は「ぼた餅」、秋は「おはぎ」というのは知っていましたが、夏と冬の呼び名が「はんごろし」(覚え間違っていたらごめんなさい(^^;; ) だったとは。
別名が「はんごろし」というの聞いたことはあっても、夏と冬の別名だとは思わなかったので、勉強になりましたというかちょっとした和菓子トリビアでした(^^)
 
 
内容(「BOOK」データベースより)
 

兄が営む『鍵屋甘味処改』のお隣、『つつじ和菓子本舗』で和菓子職人修業中の多喜次。看板娘・祐雨子への片想いは相変わらずのままだ。おまけに、新しく入ったバイトの柴倉はイケメンで客受けがよい上、多喜次よりずっと技術がある。のみならず祐雨子とも打ち解けている様子で、多喜次は気が気じゃない。そんなある日、おやっさんが自殺志願者の小林を拾ってきて…?