くぼ あやの こねくとうぃず副代表

練馬区在住3児の母。
褒めて育てたいのに自分の口から出るのはダメ出しばかり魂が抜ける自己嫌悪をこじらせた〝寝顔にゴメンねママ〟時代を経て、アドラー心理学【勇気づけ】の考え方に出会う。さらに子育てコーチング・HSP理論・発達凸凹学など、子どもにとどまらず【ママ自身の自己肯定感】についても多角的に学ぶ。

「コミュニケーションを学ぶと子育ても人生も楽しくなる飛び出すハート」をモットーに、ママたちを応援する活動家花

現在募集中の講座は、
記事が終わった下の「ブーケ2」印です

サムネイル


前記事からの続きです鉛筆




6/24開催のディスレクシアシンポジウムにて


誰にとっても暮らしやすい地域に
〜「合理的配慮」ってなんだろう〜


というテーマでお話させていただきました。




シンポジストは



発達性読み書き障害当事者であり

現在は言語聴覚士としてお仕事をする一児の父

関口裕昭さん



元は教員をされており

現在は保護司・子ども食堂での支援

・学校のお手伝い等幅広く子どもたちを

サポートし続けていらっしゃる石井真弓さん



筑波大学元教授・医学博士・言語聴覚士

・発達性ディスレクシア研究会理事長

・NPO法人LD・Dyslexiaセンター理事長

まさに発達性読み書き障害の第一人者

宇野彰先生



そして



当事者家族の立場から

私 くぼあやの



の4人でお話させていただきました。




当日はYouTube生配信の都合上、


4人それぞれの立場から伝えたいことを


ある程度事前に台本にして


スムーズな進行がなされました。




他の3名の皆さまの貴重なお話は


このブログ紙面に再現できないのですが、


私のパートだけは長文ではありますが


ここに記しておきたいと思います。




​当事者の親として語ったこと



​くぼあやのと申します。

今日は娘のことを、そして「えるでぃ」という親の会で話題となっている困り事等についてお話させていただくわけですが、
「我が子のことを話す」というのは、「自分のことを話す」以上に緊張をします。

ただ、今日の私のこの登壇を、当事者である娘がとても応援してくれていて、「自分事だから私も行きたい!読み書き障害のことを知りたいと思ってくれる大人たちに会いたい!」と言って会場に来ることを決めた娘に勇気をもらいながら、お話したいと思います。

まずは、娘の困り事についてお話します。

キッカケは不登校でした。
今、娘は5年生ですが、2年生の秋頃から「学校に行く」ということが簡単ではなくなりました。

「私の充電がなくなっちゃった」
「私の頭のポケットがパンパンなんだ」
「私だけスローモーションな気がする」

そう話してくれた言葉を読み解く過程の中で、
発達性読み書き障害が発覚しました。
娘は特に書くことの困難が強いタイプです。

娘にとってその診断は、大きな安心になりました。それまで漢字テストの前夜は緊張で眠れず、夜中も起きてきて漢字ドリルを見直して、また布団に戻るような日々でしたが、

診断により「頑張っていないわけじゃない」ということ・「自分の努力が足りないわけじゃない」ということが客観的に証明されたことで、緊張して眠れないということから解放されていきました。

少しずつ学校に行く日数が増える中で、当時の担任の先生に私の方から「宿題の漢字練習について、間違っていたら再提出というルールをゆるめてほしい」というお願いをしたところ、間違っている字があっても無くても大きな丸が1個ついたノートが返却されるということになり、娘はショックから漢字練習を後回しにするような時期もありました。合理的配慮とは難しいと感じた一例です。

そして4年生からは校内にある「ことばの教室」でのサポートをいただきながら、コンスタントに週4登校になっていきましたが、娘は漢字だけでなくアルファベットや音符を覚えることも大変です。タブレットのタイピングも困難なので音声入力をメインにしています。

一言で「発達性読み書き障害」といっても、ひとりひとりその困難さは違っていて、娘のように一時的に記憶することができて、でも定着が難しい場合には、漢字テストで90点代がとれたりします。それがしばらくすると忘れてしまうので、日常の書く作業のほとんどはひらがなメインです。

一時的には出来ているように見えるのが厄介で、「ホラ!努力すればできる!」とか「頑張ればできるようになる!」という「頑張れば…」という見方が付きまとうことが、この障害をより困難なものにしていると感じます。

「頑張り方は1つじゃない」ということが、共通認識として広く知られることを願っています。




そして、娘が「私の充電がなくなっちゃった」と言って不登校になったように、文字に囲まれる生活・文字を書く生活は、とても疲れるそうです。

4年生の時は、本人が決めた水曜日を定休日にしてバランスをとっていましたが、クラスメイトから「ズル休み」との言葉もあり、読み書き障害の二次的な壁に悩まされることもありました。

娘はずっと、クラスメイトにも自分の困難さを知っていて欲しいと願ってきました。知っておいてもらえないから「ズルイ!」と言われても疲れる理由を説明できない。グループ活動で模造紙に字を書いて発表するような場面で不意に「くぼさん書いて!」と言われてドキドキする…
安心して学校に行くためにも、娘はクラスのみんなに自分のことを知って欲しいという気持ちを強めていきました。

4年生の夏休みの自由研究で、娘は自分の発達性読み書き障害について調べて作文にしました。

そして、それをクラスで発表したいと言いました。でもそのことは叶えることができませんでした…多方面の先生方への事前相談や、話を受け止めるクラスメイトへの配慮、他にも学習障害のある子がこの公表をどう感じるのかの配慮…どんどんオオゴトになっていく雰囲気や見えない根回しのような空気感に、私はたくさんの言葉を飲み込んで、娘の作文は学校とは別の作文コンクールに応募するかたちにしました。

いつも娘に良くして下さっている先生方を責めたいわけではないのです。ただ、普段良くして下さっている先生方だからこそ、こちらが強く発表することを主張して、戦うようなことをしたくないと思ったのです。本当は手を取り合いたいのに、その手を引っ込めたのです。

その後、5年生のクラス替えのタイミングで、クラスメイト全員の前で娘は自分の特性について話しました。事前に担任の先生が「差別」と「配慮」の違いについてクラスに話して下さったり、色々な形をした字を見せて、「みんな見え方は違う」ということを話して下さったりしたそうです。道徳の時間を使って、娘が拡大教科書を使う理由と絡めながら、本人に話す時間を下さいました。

娘はとてもとても緊張したそうですが、後日談として、拡大教科書を他のクラスの男子に揶揄われた時に、クラスの男子が庇ってくれるということがあったり、書くことが必要な係を任されそうになった時に「私に任せると時間がかかるから、私は別の係の方が向いてる」と言うことができたりしたそうです。

全員に同じように分かってもらえた!というわけではもちろんないようですが、娘の場合においては確実に学校生活をスムーズにしてくれていると感じます。




次に、親としての困り事・感じていることをお話させていただきます。

えるでぃという親の会でも常に話題にのぼることですが…

「配慮」という言葉とはなんだろうと、悶々とする日々です。
配慮とは、特別扱いと思われてしまうのでしょうか?配慮とは、後ろめたいものでしょうか?配慮とは、交渉の上ありがたく頂戴するものなのでしょうか?配慮を受ける側が、配慮や遠慮をするのでしょうか?配慮は、前例がないと受けられないものでしょうか?配慮とは、ずるくないかどうか検討されるものでしょうか?

…「配慮」という言葉に、これらのニュアンスが含まれているのだとしたら、今日この場からそれを消していきたいと思うのです。

…と、こんなふうにお話していても、娘がお世話になっている先生方を責めるような言葉遣いになっていないか配慮せねば、という気持ちが顔を出すのです。

日常の中で、何かひとつ先生にお願いをするにも「すみません」とか「お手数おかけして申し訳ありません」を連呼しがちだったりします。

そんな中で親の大きな困り事の一つが、
担任の先生が変わるたびに、ほぼ一から我が子の特性を説明することです。前年度の先生からうまく引き継ぎがされていないケースもあり、何をどこまでご存知で何をどこまでお話すれば良いか?からスタートすることもあります。

先生方おひとりおひとりの発達性読み書き障害への理解度も差がある中で、失礼のないように言葉を選びすぎて、こちらの伝えたいことが全く伝わらないこともままあります。

専門的なサポートが受けられることばの教室は、我が家の場合週1回の1時間のみで、それもずっと在籍できる保証はありません。切れ目ない専門性のあるサポートが得られないことは、親としてとても不安です。

まずもって…我が子の発達に疑念を持って、診断テストを受けるために数ヶ月待ち、結果を数ヶ月待ち、診断が出てからも専門的なサポートを受けるために校内審査があり、さらに…という、切れ目だらけの中、その間も子どもの学習意欲や学校へ行くことへのモチベーション、自己肯定感を保つために、親のスキルアップが常に求められていると感じます。

学校にお願いしたいことは、
子どもにとっても親にとっても伴走者になっていただきたいということ。
そして、リレーしていただきたいのです。引き継ぎを充実させていただきたいのです。
さらに、一度作った前例をレアケースとするのではなく、広くシェアしていただきたいのです。

「合理的配慮」がアタリマエになるためには、前例を勇気にして、多様な学び方・多様な頑張り方を広げる必要があるからです。





最後にもうひとつ。

今回のシンポジウムのパンフレットにあります私の自己紹介欄に、娘の作文の一文を載せさせていただきました。本来なら、4年生の時にクラスに発表したかった想いの一部です。この場に載せさせていただき、より多くの皆さまにシェア出来たことで、あの時先生方に発表について交渉しきれなかった私の弱さを、娘に詫びたいと思います。

娘には、困り事を自分で言える大人になって欲しいと願うからには、まず親である私から「お手数おかけしてすみません」という言葉を、やめていこうと思います。




「お手数おかけしてすみません」


ではなく


「いつもありがとうございます」


を口癖にしていこうと思います。




私がお引き受けして良いものかと


登壇については悩みもしましたが、


娘との「これまで」を考える機会をいただき


娘の「これから」に大きな一歩となりました。




ご依頼いただき、ありがとうございました。





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