先日、鳥山明先生が亡くなりました。


来年に新しく始まるTVアニメのドラゴンボールの新シリーズの原案作成に関わっていただけに、ファンとしても早すぎる逝去が残念です。


15年くらい前の事ですが、同じ職場に中国人の方が何人かいて、そのうちの1人がドラゴンボールが好きとのことで、よく昼休みにその話題で盛り上がりました。


今では日本の人気のある漫画やアニメのほとんどは世界中でリアルタイムで普通に見れますが、当時は本当にごく一部の人気のあるアニメ、例えばセーラームーンやドラゴンボール、聖闘士星矢などしか海外では見ることができなかそうです。


なので今ほど爆発的にアニメが人気というわけではなかったそうですが、それでも子供向け娯楽がほとんどなかった海外では、その隙間を埋めるようにドラゴンボールなどの日本のアニメ人気が広まりました。


中国でもそれは例外ではなく、レベルの高い日本アニメに中国の子供達は夢中になったそうです。


その職場にいた中国人もその1人だったのですが、当時は中国で放送された日本アニメのほとんどは中国が作ったものだとばかり思っていたとか。


ところでその彼はドラゴンボールで驚いたこととして次のことをあげました。


それは、戦っていた敵が仲間になったり味方になるということ。


当時のジャンプ漫画としては、北斗の拳のように敵として戦っていたとしても最後には分かり合えた(笑)みたいな展開はよくあることだったので、ピッコロやベジータみたいに敵として現れてもその後、ゴクウの仲間になったりすることは不思議なことではありませんでした。


しかし、欧米は違います。


敵は敵であり、最後まで悪として描かれ、主人公に倒されて終わります。


おそらくはその原因は欧米の宗教観に淵源があるのだと思います。

神と悪魔は分かり合えるはずもなく、まったく別の存在であり、悪の側が善に変化することなどありえない。


一方で日本では、仏教においては全ての存在に仏性が宿るとされる思想があり、悪人に見えたとしても、ほんとうは善なる心がその奥にある。

ただ今は考え違いをして心の表面に汚れがついている状態であり、反省し考え方を改め、心についた汚れを拭き取れば本来の正しい姿を取り戻す。


そういった日本の歴史の中に流れていた思想が現代にも連綿と続いており、それが現代の漫画やアニメにも受け継がれている。


中国も仏教国であり、そういう思想が残っていそうですが、意外にも仏教は廃れてしまってほとんど存在感がないのだとか。

中国では国が変わるたびに歴史書や古典が燃やされたり、廃棄されたりして消えてしまうことが多く、日本のように過去の歴史や古典を残して受け継ぐことが難しかったそうです。


発祥の地インドでもヒンズー教が支配的となり、今は仏教の教えが残っているのは日本くらいなのかもしれません。


日本のアニメや漫画の人気の秘密は敵が味方になったりする、というものだけではなく、ジャンルの広さや、女性も主役になったり、主人公や脇役までもが成長していく過程が丁寧に描かせていたりと、アメコミにはない要素も挙げられるていたりします。


あらゆる職業が漫画の題材になっているのも、日本だけの特長です。

市役所職員とか看護師、聴覚障害者など、そういう分野の漫画は海外では絶対作られないでしょう。


まあ、他にもポリコレに迎合しないなど探せば数えきれない要素はたくさんありますが(笑)


今は日本の漫画やアニメが世界で隆盛を極め、若者の達の娯楽の王者になろうとしています。


ドラゴンボールはある意味その先駆けとなったわけですが、その功績は大変大きいと思います。


日本の没落が叫ばれて久しいですが、日本の漫画やアニメの中に日本を支えて維持してきた核となるものが、まだ確かに息づいています。


そしてそれがある限りはまだ日本に未来は残っていると感じますし、また世界もその日本にしかない輝きを必要としているように感じます。