先日、合気道の道場での稽古の帰りに、稽古仲間と飲みに行く機会がありました。


合気道を習っている方々には結構、経営者や社長などをやっている人も多く、話を聞いているとなかなか面白く、参考になることもたくさんあります。


その中でも興味深い話が最近聞けたので紹介しようと思います。


その方は小さな建設会社の社長さんなのですが、深刻な人手不足から技能実習生を入れてみよう、ということになり、知り合いの建築会社と一緒に合同で実習生の送り出し会社を現地に作ろうということになった。


計画としては現地で最低限の教育、日本語や建設現場での仕事など教えて日本に送り出すそれにはまずは現地の視察が必要だということで、仲間とベトナムに行ったそうです。


しかしベトナムで色々と調べているうちに驚くべきことが分かったそれは送り出す側に悪質なブローカーや現地のマフィア、が相当関わっているそんな話を現地の事情に詳しい人達からたくさん聞いたそうです。

実情はある程度は知っていたものの、その腐敗ぶりにかなり驚いたとか。


日本の報道でもベトナム人技能実習生は現地の送り出し機関に100万以上を支払って(親戚や銀行などから借金をして)日本に来るとされています。

もちろんそれは違法なことであり、上限は40万と決められています。


しかし、なぜそんなに高額になってしまうのか?


現地で話を聞くとベトナムでは手数料に関する法律の規定緩く、みんな守っていないとか。

そして送り出し機関が政府高官と癒着していて、徴収した手数料が賄賂として政治家や官僚、役人に渡っている、と噂されているそうです。


日本政府もこの高額な手数料を問題視していてベトナム政府に働きかけているそうですが、なかなか改まらないのはベトナムの政官財の利権構造があるからなのでしょう。


さらには驚くべきことに、日本の受け入れ機関にもその手数料の一部が流れている…日本での工場や農家へ紹介してもらうという斡旋料という名目で…。


自分はこの話を聞いてアメリカの不法移民を連想しました。

彼らは国境を越えるためにマフィアが仕切っているブローカーに手数料を払うのですが、構図が似ていると思いました。


技能実習生として来るほとんどのベトナム人も、技能の習得が目的ではなく、何年か日本で働けばベトナムで家が建てられるそんな夢を抱いて来るわけですが、やはりそこにある種の甘さ、短期間で多額のお金を手に入れようという一攫千金に似た思考を感じます。


そこに闇のブローカーが付け入る隙がある。


もちろん、法律を守って正しく運営している送り出し機関もあるとは思いますが、手数料が少ないとかえって怪しまれたりするとか…

なかなかすぐに現状を変えるのは難しそうです。


ところで自分が働いている職場のパートさんに長野県出身の人がいて親戚は野菜を作っている農家だそうですが、今は技能実習生がいないと農業が成り立たない、と聞いたと言っていました。


安い値段で野菜を提供するには、人件費が日本人より安い彼らを使わなくてはならないとか

つまり、日本人を雇うと野菜の値段を上げなければならない。

しかし高いと売れなくなるという不安がある。

だから人件費は抑えたい。


日本の時給が上がらないのも、こんなところに原因の一つなのかもしれません。


農業以外も地方の中小企業は技能実習生を使っている所はたくさんあります。


時給が安くて人が来ないなら、時給を上げて日本人を雇用し、そのかわり商品に値段転化するそうやって他国は給料も物価も上昇したわけですが、そろそろ日本も発想を転換しなければならないのでしょうか。


技能実習生制度が奴隷労働と国連から指摘されて久しいですが、政治家のみならず国民もこの問題に直視しなければならないと思います。


話は戻りますが、先程の建築会社社長はベトナムでの会社作りは諦め、次はインドネシアに視察に行くと言っていました。


ベトナム以外の国では送り出し機関にそれほど手数料を払う必要はないようで、なぜベトナムだけがこのようになってしまったのかはよく分かりません。

もしかすると社会主義体制独特の役人への許認可に関わる権力集中があるのかもしれません。

そういう構図は中国とよく似ています。


自分としては外国人が日本で働くのは反対ではないですが、まずは高齢者の雇用、そして働かず引きこもっている140万人に働いてもらうための施策が必要だと思います。


海外からの単純労働者に来てもらおうと単純に考えるのではなく、やるべきことをしてからの後が良いのではないでしょうか。


今回のイラストはドラゴンの女子高生です。

近年、アニメやイラストなどの分野で日本でクリエイターと働きたいという外国人が増えているようです。

自分としてはそういう特殊な技能を持った海外の方が増えるのは大歓迎なのですが