今年採用した20代の新人が自分の事業所に研修でやってきました。
所長の机の上に置いてあったチェンソーマンの最新刊を見て自分のことをオタクだと見抜いたらしく、
「所長、知ってましたか?A Iがブラックジャックの漫画を描くらしいですよ」
と話題をふってきました。
A Iが漫画や小説、イラストやアニメを描いたりしているらしい、というのはある程度は知っていましたがブラックジャックのことは知りませんでした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/926366e6e4ffce4d895f1180c9951844223b94fd
詳しく調べると、全てA I が作るのではなく、手塚治虫の作品をたくさん読み込ませた上で、ストーリーや設定のアイデア出しをA I に手伝ってもらった、というのが真実のようです。
自分は新人社員に、
「これはすごい時代になったね…漫画原作者はいらなくなるかも。どうせならついでにA I に政治もやってもらったらいいんじゃない?」
と冗談を言うと、
「僕もそう思います。将来的にそうなるんじゃないですか?」
と真顔で答えます。
彼が言うにはこういうことだそうです。
A I が政治をやれば、賄賂をもらって特定企業を優遇したりしないし、特定の団体や業種をえこひいきしたり、個人的な感情で判断したりしない。
人類の叡智をデータで読み込ませて判断させれば1番正しい最適解を出してくれる。
確かにA I が政治を行えば政治献金をキックバックして私的に使ったりはしないでしょう(笑)
ただ、彼と話をして気になったのはA I が常に正しい判断をしてくれるはずという強い信頼と、人間に対する不信でした。
いわく、権力の座につくものは必ず傲慢になり、腐敗する。
だから人の上に立つのは公正な判断ができるA I が良いのだと….。
「あらゆる判断をA I に委ねるって、もう神様みたいなものだな」
と自分が言うと、
「そうですよ、新たな神ですよ。人の悩みにも答えを出してくれるし、宗教もいらなくなりますよ」
まあ、そんなことを言っていましたが、これは今時の若い人特有の考えなのでしょうか?
文明実験として今後も様々な分野でA I は使われることでしょう。
企業における経営判断、映画や漫画、イラストやデザイン、小説などのクリエィティブな分野における補助的な活用、新商品の開発、人生の問題に対する相談…あるいは戦争における戦術的判断、なんてのもあるかもしれません。
特に政治的判断をA I にさせたら良いとアンケートをとれば、若い人は半分くらい賛成しそうな気がします。
個人が決断しても反対意見は必ず出ますが、世界中のノーベル賞をとった学者の著書や、論文を読み込ませたA I が判断しました、となったら反対意見は少ないかもしれません(笑)
自分の印象としては、全てのてっぺんにA I がいて人々がそれに従うのは、A I による全体主義、あるいは形を変えた共産主義に見えなくもありません。
A I が上にただ1人いて、その下に意見や考えを持たない無個性な人々が格差のない社会で平等に扱われる。
一方でA I は過去のデータの集積と組み合わせで判断するので、未知の出来事には対応できない、とする専門家もいます。
話は戻りますが、新人の彼はA I が普及すれば宗教はなくなる、といいました。
しかし自分から見たならばそれはA I という新たな教祖による新宗教が現れただけ、に見えます。
A I を神のごとく信じる彼は、A I 教の信者と言ったら言い過ぎでしょうか。
手塚治虫の漫画、火の鳥の未来編に電子頭脳ハレルヤが登場します。
ハレルヤは人々のより良い生活のために人類を管理していましたが、次第に人々を支配しようと暴走を始めます。
地球にとって脅威となるものがあったらそれを排除せよ、と人工知能に命じて、その人工知能は人類を排除しはじめた…というようなストーリーは古近東西たくさんあります。
A I に全てを委ねた結果、人口の削減、または人類の滅亡が最適解だった、なんてことになったら人類はどうするのか?集団自決するのでしょうか。
陰謀論的にはすでに人口削減に取り組んでいる方々もいるようですが…(笑)
A I に愛想尽かされないためにも、結局は人類は自分たちの意思で戦争をやめ争いごとをなくし、憎しみや怒りをコントロールする必要があるのではないと感じます。
また人間は不完全であるからこそ、試行錯誤しその中で成長していく喜びがあるのではないでしょうか。
最初から「人間は不完全なものだから信頼できない、だから完璧なA I に全てを委ねる」では人間が存在している意味がないと思います。
今回描いたイラストは機械仕掛けの天使です。
日本の漫画やアニメでは人間と同じ感情を持つアンドロイドやロボットがたくさん登場します。
個人的にはそういう人間の友達のような人工知能なら大歓迎なのですが…。