前回ディズニーキャストを以前していたことを少し書いたのですが、今回はその時のことを少し思い出して書いてみようと思います。


特にこれは知ってもらう価値がある、と思われる、ディズニー式教育のことに絞って紹介します。


今は分かりませんが、当時は履歴書は必要なく、面接のみでした。

面接だけでディズニーランドで働くに相応しいかどうかを見抜くのは大変だと思いますが、面接ではこの2点を重視していると思いました。


一つは受け答えがしっかりしており、分かりやすく相手に伝えることができるか。

もう一つは、働きたい動機が他者への愛であるか、です。


例えば、過去部活で何を学んだか?というなどの質問に意味はなく、順序立てて伝えることができるか、を見ていたと思います。

また、ディズニーが好きだから、ミッキーマウスが好きだから、というミーハーな人は採用はあまりされておらず、またスキルアップのため、という人も敬遠されていたように感じます。

あくまで、来園した人を笑顔にしたい、というような利他の心を面接では重要視していたと思います。


採用後は3日間ほど研修があります。


ウォルトディズニーの生涯、アメリカでのディズニーランド建設に至るまでの苦労や過程、ディズニーそのものの理念や哲学。

また日本におけるディズニーランドがどうやって建設完成できたか、漁村だった浦安の住民に説明会をするところからその歴史も詳しく学びます。


またチームを作って与えられた課題に対処するゲームなどもありましたが、今ではよくある企業研修の一つと言えます。


それぞれの担当エリアに配属されると、自己紹介シートを書かされ壁にそれが貼られます。

もちろんそのエリアにいる他のキャストの自己紹介も貼られていています。

出身地、趣味、好きな言葉、好きな本、好きなキャラクター、尊敬する人、休日何をしているか?その他PRしたいことなど


もちろん書きたくない人は何も書かなくてもよいことになっています。


これはお互い相手をよく知っていると意思疎通がスムーズになり業務上の事故が起きにくくなる、という調査に基づいて行っているそうです。

このシートによって会話することなく他のキャストととの共通の趣味を知ることができ、また会話のきっかけが作れて仲良くなるスピードは格段に早くなります。


朝礼も非常に時間が長いのも特色の一つです。


例えば朝礼で円陣を組んでいるたくさんのキャストの中から、お客様役とキャスト役が選ばれ、お客様役が急病になった場面を演じてもらい、キャスト役がどう対処するか、みんなで見てそれが正しいか間違っているか判断させる、というのもありました。


そんな風に、アイスを落としたとか、迷子になった、などトラブルに遭遇した様々なお客様を演じてもらい、それを教わった通り対応できるか、朝の朝礼で20分ぐらいかけて毎日トレーニングします。


また、お互いに褒め合う文化があり、よい接客や良い仕事をしたと思われるキャストにメッセージを書いて渡す、といものがありました。

このカードが集まると記念品や特別なバッジが貰えます。

このバッジは服につけることができ、そのキャストがどれくらいのレベルの人物であるかがみんなに分かってしまいます。


アイデア応募制度というのもあり、それが採用され場合は特別ボーナスが貰えたりします。

それにより上層部だけが意思決定できるのではなく、みんなでディズニーを作りあげているという意識が生まれます。


3ヶ月に一回は更新面接なるものがあり、エリア担当のリーダー4人が20項目以上のチェックポイントシートに点数をつけていくというものがありました。

例えば正しい言葉で接客できているか、正しい姿勢で清掃できているか歩く速度、など色々あります。

また4人で判断するので、個人的な偏った判断や評価がされにくいという利点があります。


点数が悪かったからといって首になるわけではありませんが、評価が良くなければ次のステージに進むことができず、さらに上のレベルの清掃業務をさせてもらえない。

そういう人は肩身が狭くなって辞めていく人が多かったと思います。


閑散期は仕事が少なくなるので、こういう時は教育にあてられます。

例えば、キャストの悩みを発表し、みんなでその解決策を考える、なんてのもありました。

混雑時にパレードルートをスムーズに移動するにはどうしたらよいか、などから始まって、両親や彼氏と上手くいかない、など悩みの発表は仕事に関係ないのも有りでした。


困難に直面した時、チームで協力し合ってどう解決するか、の思考訓練や環境作りだったと思います。


とにかくディズニーは教育に力を入れます。


1ヶ月に23回は1日使って様々な教育が行われます。

一日中目隠しされて園内を歩かされたり、車椅子に乗ったりと、障害者の立場で園内を回る、というプログラムもありました。


テストが嫌いな人は困ることですが、ディズニーフィロソフィーについてどこまで理解しているか、の筆記試験なんてもありました。


他にも色々と書ききれないほどあるのですが、これらを読んでもらって分かる通り、日本の会社とはかなり教育システムが違います。

やはり繰り返し教育することがよい人材を生み出す秘訣であり、人を育てるのに近道はないのを感じさます。


ある意味学校のような場所だったと思います。

今は当時と比べてかなり教育の仕方も変わったと思いますが、ディズニーの理念であるハピネスの具現化は変わらないはずです。


ただし今は、ある特定の偏った思想に傾きすぎて、一般大衆の気持ちから離れているのでは?とディズニーは批判を受けています。


ディズニーランドの核となるものの多くはディズニーが制作する映画であり、そこからアトラクションが作られています。


多様性は大切ですが、少数派を優遇しすぎて大多数が好むものを冷遇すれば必ず売り上げと経営に響くでしょう。


果たしてディズニーは今後も夢の国として存続できるのか

注視していきたいと思います。