先日、本屋で「真夜中のディズニーで考えた幸せに働く未来」という本を見つけ早速読んでみました。


自分はかなり昔ですが、舞浜のディズニーシーがオープンした頃にディズニーランドで働いたことがあります。

職種はカストーディアルキャストと呼ばれるもので、パーク内の清掃をする人です。


今でこそ、箒で床にミッキーマウスを水で描いたりするパフォーマンスが有名ですが、当時はまだ床に何か描いたりすれば、注意されたものでした。


とはいえ、リーダー黙認のもと何人かの絵心のあるカストーディアルキャストは水を使ったり、集めた枯葉を使用して床にディズニーキャラクターを描いていたりはしましたが


その中には自分も含まれており、シンデレラ城前のパレードルートにスプレーボトルでミッキーの絵を描いてお客さんに見せていたりしました。


まあ、そういうわけでディズニーランドには多少の縁があり今でも少なからず興味はあるわけです。


人は綺麗にすればするほど汚さなくなる。


これは自分が今回この鎌田洋氏が書いた本を読んで1番印象に残った言葉です。


ディズニーランドオープン前にアメリカのディズニーから来日し、清掃のノウハウや心構えを教えたチャックボヤージンの言葉として本書で紹介されていますが、確かにこれは真理だと思います。


著者は勤務していた商社を辞めて開園を控えた東京ディズニーランドで働くべく、新聞広告で見たオリエンタルランドの社員募集を見て応募します。

新婚旅行で行ったカリフォルニアのディズニーランドに魅せられからですが、その後驚くべきことに書類審査や面接で4回も落とされたとあります。


普通は同じ会社に何回も面接等で落とされたら、もう諦めるのではないでしょうか


ようやく念願叶って5回目の挑戦で採用となるのですが、配属されたのは清掃部門、しかも夜の清掃、ナイトカストーディアルでした。


著者は正直、がっかりしたと語っています。

しかしせっかく働きたかったディズニーランドに入ったのだし、清掃の仕事も大切だろうと思い真剣に清掃を学び始めます。


著者はその過程でディズニー哲学というべき、仕事を通じて人を幸福にする思想に触れることになります。


自分も体験したことですが、ディズニーにおけるキャストの教育システムは非常に優れており、自分もかなり驚いたのを覚えています。

誤解を恐れずに言えば、凡庸な人間も一流の接客ができる人間に変身させる…そんな独自のノウハウがそこにはありました。


この時の経験はいずれ書いてみたいと思っています。


鎌田氏はやがて清掃もパークに来園する人々に夢を提供する大事な役割があることを知ります。


その後、ディズニーキャスト全体を教育する立場に昇格することになった鎌田氏、しかしそれは彼の人生にとっての通過点でしかありませんでした。


ディズニー哲学を元に人を幸福にする働き方を人々に教えたいと思った鎌田氏は、オリエンタルランドを退社し、起業します。

それはディズニーキャストを教育していた時の教育理念を核とした組織運営の在り方を教えるコンサルタント会社です。


顧客もいない中、旅行代理店と提携して講演会やセミナーを売り込む方法は、当時ディズニーキャストの優秀な働き方に注目が集まっていたこともあって、大当たりしました。


こうやって見ると結果として成功した人生にもみえる鎌田氏ですが、夢を諦めず何度も挑戦したことが幸運を引き寄せた、と自らが分析しています。


確かに本書の中には、アメリカのディズニーランドにまで行って、日本に開園予定のディズニーランドで働きたいと直訴しに行った驚愕のエピソードも載っています。


そこまですれば、まあディズニーの神様もチャンスは与えてはくれるのではないでしょうか。


また、意に沿わない環境だったとしてもそこで全力を尽くせば道が開けてくるのを本書は教えてくれています。


不遇な環境に置かれた人々、夢と現実は違う、と思っている人に読んでもらいたい一冊です。