先日、宮崎駿の映画最新作、君たちはどう生きるか、を観てきました。


ジブリ映画はだいたいは観ているのですが、今回は原作の小説が少しばかり左翼がかっているので、政治的主張が強くなりそうだと思ったので観に行く予定はなかったのです。


しかし先に見た人たちの評判があまりにも良くなかったので、どこがそんなに酷いのだろうか?と逆に興味が出て観に行くことにしたのです。


観た場所は新宿。

評判が良くないわりには満席で驚きでした。


さすがジブリブランド!


そして観た感想ですが、意外なことに自分はとても面白かったです。


やはりどんな作品にも良い部分と悪い部分はあり、自分は少しでも良い所があれば学ぶべきところがあった、と納得するのですが、白か黒かで分ける人、あるいは全てに答えや正解、がなければ許さない、という人にとってはフラストレーションが溜まる作品だったと言えます。


確かに分かりづらいシーンは多く、例えていえば不思議の国のアリスに似ているといえましょうか…。

何故ウサギが服を来て言葉を喋るのか?と疑問に思うような人は、今回の映画は理解できません(笑)


さらに例えると、面白くなかった、訳が分からなかった、という人たちは、写実的絵画を見に行ったのに、会場内は現代アートばかりでがっかりした、全く理解できなかった、との感想を持つ人に似ています。


そういう意味では観る側に理解力や考える力、推測する楽しみ、を持っていなければあまりお勧めすることはできません。

あるいは不条理な出来事も楽しめる、そういう人は大丈夫だと思います。


しかし考えてみれば世の中も心の中も、理解し難いことは数多くあり、また答えがありません。

悪が栄え善が敗れたかに見えることも多々あり、不条理な世界、苦しみから逃れることはできません。


君たちはどう生きるか、という題名の通りそれぞれの登場人物に物語の中で選択は迫られますが、それは見ている我々に対しても投げかけられるテーマとなっています。


仏教には泥中の花という言葉がありますが、この作品を見てその言葉を思いだしました。

ブッダは泥の沼を汚辱に満ちた世界に例え、その中から努力によって清浄なる花を咲かせる必要性を説きました。


今回の作品にもそれに通じるところはあると感じます。


考える力を失い、TVニュースが正解を与えてくれると思っている人々が増えた現在、この映画はあまり評価されないかもしれません。


しかし自分の常識に揺らぎを与えたい人、自分の信じているものは本当に正しいのか?と思っている人、また苦しみのない世界が理想世界と思っている人は一見の価値はあるでしょう。



今回のイラストはひまわりです。

近所の畑もひまわりが満開です。