WBCで世界一に輝いたサムライジャパンの栗山監督といえば、今や知らない日本人はいないだろうと思われる名将です。
しかし恥ずかしながら日本の野球にそんなに興味がなかった自分は、栗山監督のことは日ハムの監督だったことと、大谷翔平を日ハムに引き入れたことぐらいしかしりませんでした(汗)
なのでたまたま新宿紀伊國屋に栗山監督関係の本が山積みされていたので、その優勝の秘密が知りたいと思い、栗山ノートなる本を買ってみました。
本を読んで分かったのですが、日本ハム時代においてはリーグ優勝2回、日本一も経験している名勝ですが、どうやらしかしその経歴は決して輝かしいものではなかったようです。
選手時代はメニエール病に苦しめられ、短い現役時代は満足のいくものではなかった。
しかしそんな彼が監督になり、かつ続けられた理由が古典や偉人伝などの読書だったのです。
またその読書の中で必要な言葉を書き出し、それを試合の勝負所に生かしたり選手の起用方法に使ったりした。
そして悩みの時にその言葉を見ながら自らの思いを書き綴ったノートが本書の元になっています。
過去の偉人や君子の言葉や中国の古典から学び、それを選手の教育やチーム運営、また勝敗における戦術や自身の心の調律に活かす。
栗山野球の秘密が余すことなく記されていて、まさに料理でいうなら秘伝にあたります。
一読してこれは経営書を読んでいるのではないかと錯覚するほど内容でした。
人を使うことはどういうことか、そして人を使う立場の人物はどのような心であるべきか、という課題に徹底して向き合い、単なる野球における勝敗を超えた世界に踏み込んでいます。
ところで、今活躍している大谷翔平の基礎を作った人が栗山監督だということも本書を読んで初めて知りました。
当時の野球界はピッチャーかバッターどちらかに専念しなければならず、栗山監督の前例にとらわれない、大谷翔平の二刀流を認める姿勢は内外から批判もありました。
しかしそのおかげで大谷翔平は海を渡った今でも大リーグでも二刀流で成果を上げています。
大谷翔平の活躍を楽しみにしている自分にとっては、大谷の希望と個性を理解し生かした栗山監督に感謝しかありません!
ただ勝つだけではない真なる成功とは何か?を知りたい人にお勧めの一冊です。