ロシアの片田舎で、ドイツとの橋渡し役を夢見て外交官を目指すセラフィマ。牧歌的で平和な村の中で彼女の人生は夢に向かって順調に進んでいるように思われた…そう、ドイツ軍がやってくるまでは。

一読して壮絶な物語だと思った。

戦争が全て悪いとか、悪だとは思わない。
ナチスがヨーロッパを支配していれば、さらなる地獄が展開していただろう。
もし狂気に取り憑かれた国の指導者が、他国に攻め込んだ時、平和を唱えるだけでは何も守れないことを、この小説はまざまざと見せつける。

今なお戦争は無くならない。
人の心から支配欲や憎しみの感情が無くならない限りは、今後もあるだろう。

迎撃不能な極超音速ミサイルの開発に邁進し、核ミサイルを保有する国々に囲まれた日本人に読んでもらいたい一冊である。