この発見が事実であれば歴史を変える世紀の大発見と言われた、STAP細胞・・・


iPS細胞よりも作成が簡単で、すべての細胞や臓器に変化する性質を持った夢の幹細胞。


もしこれが実現するとなると医学の常識が根底から覆されてしまう、恐ろしい発見・・・になるはずでした。
しかしその後の経緯は多くの人を失望させ、世間の嘲笑とともに幕を閉じました。



果たして事実はどうだったのか?


あまりに短い再実験や、小保方さんの発言と周囲の関係者の証言の食い違いなど不可解な点が多くあり、自分もすっきりしない感じがしていました。


今回そのSTAP細胞を作成したと言われた小保方晴子さんが本を出したというので、早速買って読んでみました。


読んでみた印象としては、この本の内容が事実なら、STAP細胞の報道に関わった、そして小保方さんを一方的な悪と断罪したマスコミや報道機関は職を辞するべきなのではないか、それぐらい衝撃的なものでした。


画像のミスやねつ造かと騒がれた事件に端を発した、魔女狩り的な報道は今でもよく覚えていますが、こんな恐ろしい事態が起きていたとは驚愕せずにはいられない記述が次々と出てきます。


トイレまで追いかけてくるような執拗行動をとり怪我をさせたNHKの記者。
脅迫的な取材を繰りかえした毎日新聞の記者。
鳴り止まないインターホン、知人友人、家族にまで及ぶ取材攻勢・・・
最初からあるべき記事を書くべく、入念な取材もせず平気で嘘を書き続ける週刊誌。


こんな常軌を逸したメディアやマスコミの取材はまだ内容のごく一部ですが、これだけでも自分は恐ろしい戦慄を感じます。


また理研での協力者達や上層部が保身を図り、小保方さんだけに責任を押し付けて逃げていく様子は、あまりにも愚かで無様です。
こんな人達が日本の科学界のトップにいるなんて信じられない思いです。


前半の希望に満ちたアメリカでの研究生活から一転、後半の日本での追い詰められていく様子は、胸が詰まってなかなか読み進めることができません。


精神を病み体が変調をきたしつつも、最後まで使命を全うしようとする小保方さん。
しかしマスコミは容赦なく取材攻勢をかけ、ネットには誹謗中傷の嵐が吹き荒れる。



再現実験も常に監視された中、充分な機材も人材も時間も与えられず行われたのには驚くばかりです。
STAP細胞を作らせまいとする意図が最初からあったと思うのは考えすぎでしょうか・・・。



この本の内容を嘘や創作だと断定する人もいるかもしれません。


しかし本の内容から知れるかぎり、この件に関わった研究者、間近で見ていた人、また取材していた人達があまりにも多いことが分かります。
つまり、嘘を書けばすぐに真実ではないと露呈するのです。
それだけ多くの人が共同で実験や細胞の作製に関わっていた・・・・。


嘘の記述を彼女が書く理由があるのだろうか、というのが率直な思いです。


彼ら一人一人に聞いて回れば真実がどうであったかはすぐに分かるかもしれませんが、しかし日本の科学界はとても閉鎖的で年功序列のトップが絶対的な権力を持つ世界。
この世界の意に反した言動をとった者は日本にはとどまれないかもしれません。



真実を語るのは勇気が入ります。



今となっては小保方さんは自由で公平なアメリカで研究生活を続けるべきだったのかもしれません。


本書では今でもSTAP細胞の存在を彼女は否定していません。
亡くなられた笹井センター長もその存在を示唆していました。


STAP細胞はまだ終わっていません。

再現実験は非常に繊細な、ある種の職人的な技術が要求されるのを初めて知りました。

誰がやってもできるようになるには、まだまだ技術的な確立と蓄積が必要なようです。


よく調べもしないのに一方的な報道しかしなかった日本のマスコミに強い疑問を感じます。



真実を報道するのがマスコミの使命と思っているならば時代の空気や感情に流されることなく、真実を追求してほしいと思います。