物心ついた頃に
私はよく
ガジュマルの樹に
登っていた
家から数歩でいける広場を
ぐるりと囲うように植えられていて
夏休みにはラジオ体操したり
ふだんはお年寄りがゲートボールをしてた
そこに幼い私でも
登りやすいガジュマルがあった
小学校の校庭の片隅にも
仲良くしてたガジュマルの樹があって
校内スケッチ大会の時は
よく、モデルになってもらっていたし
昼休み樹上で
ともだちと手分けして
樹液を集め
天然のガムをつくったりした
よく毛虫にも刺されたけど
あん時は
全然平気だったんだよね、不思議と
どれも
じいさんのヒゲのような
気根を垂らした大ガジュマルたち
友達のように
家族のように
毎日
触れ合うのが当たり前の存在
じいちゃん子だった私は
胡座をかいたじいちゃんの足に
すっぽりハマるのがいつもの定位置で
ガジュマルに樹に登る時も
どこかそれと似た
安心感があったんだよな
ガジュマル大好きって話をしたら
じいちゃんは
『ケンムンに気に入られたんじゃやぁ』
と応えてくれた
奄美では
ガジュマルに棲む精霊とも
子供たちと相撲をとる妖怪とも言われてた
ケンムンと相撲をとって負けた子供は
神隠しに合う
恐れられた存在でもあった
うちのひーじいちゃんは
相撲に勝って
ケンムンを泣かしたのが自慢だったらしい
だからなのか
ケンムンにもガジュマルにも
親しみをもつのは
私のDNAに刻まれた
遺伝情報だったのかとも思う
小さい頃に
そんな話を聞かせてもらったのと
自分の中に当たり前にあった体感を通して
自然という存在は
今の時代のように
見えない境界線によって
隔たれたものではなく
いつも当たり前にそこに在る
私の一部だった
10年前から
音読を始めて
遠く隔たれた存在になりかけた自然が
ふたたび
ググっと身近なものとなった
それが強い体感としてあったから
その理由を求めて
日本語研究に没頭
派生して
日本の先史・古代史
言語学・言霊学
古神道
武道
量子物理学
数学
脳科学など
かなりマニアックな世界にどっぷり
母音優勢言語という日本語五十音の成り立ちと
母語として形成された脳が関係していることを
ようやく突き止めた
地球が発するシューマン共振波と
母音の発する周波数の近似
日本語を日常語として使うことで
あらゆる自然音を
言語脳である左脳によって
言語として聞いていたこと
音読によって
潜在意識にたっぷり取り込まれた日本語が
自然音を言語として聞き取る能力を
さらに強化したからなんだと
森羅万象あらゆる自然の働きに
名前をつけ八百万の神として
大切にしてきた先人たち
日本語も同様に大切に伝えてきてくれたことの喜びが
今身に沁みている
祭祀を行い
神々に
五穀豊穣や暮らしの安寧を願う
意を宣る【祈り】は祝詞というツールとなって
今に伝わる
言葉を通して言祝ぎあい
エネルギーの循環を試み
自然と共生しながら
命を繋いで来た先人たち
あらゆる自然と私たちの暮らしを
繋いでくれたものが
日本語
先人たちが大切に守り継いできたものを
次の世代に伝えていく
その役割を果たしていきたいと
改めて強く願う