彼①
まるで夢を見ているような、秋の日だった。
私は、彼のスポーツカーの助手席にいた。彼とはまだ知り合ったばかり。
50歳を少し過ぎた彼だが、遊び心のある人で、最近買った車は
オープンカーだ。スイッチひとつで車の屋根が開くと思わず歓声を上げた。
「映画みたいだね」と彼は笑った。
抜けるような秋の青空、そして風を切って走るのは
とても気持ちがいい。
彼とは3回目のデート。彼とはあるサイトで9月に出会った。
何でも彼は自営業のいわば社長だった。
けれど、まだ彼の本名は聞いていない。商売柄、名前を出せないの
だろうと私は思っていたのだが。
数回のメールで、会う約束をしたのは、現実の彼を早く知りたかったから。
いくらメールで仲良くなったと言えども、実際会って幻滅したら終わる。
初めてあったとき、私は彼をずいぶん年上だと思ったけれど
それは彼が髪を染めていないせいで、男も50を過ぎれば当然白髪になる。
それに商売柄、渋めの背広を着てたからだった。
背が高く、普段からジムで鍛えているという彼は細身で
すらっと見えた。白髪以外、彼に嫌悪感はなく、どちらかというと
好意を持った。
待ち合わせ場所から車で移動する。最初の彼の車はベンツだった。
もともとメールで既に仲良くなっていたのだから、
彼と口づけを交わしたのは、自然の流れだった。
そのあと迷わず、私は彼に抱かれた。
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あなたとなら
身も心も
溶けそうな時間(とき)を
過ごせる
だから
また欲張りになる
あなたを独占するつもりはないけれど
たった少しの時間をあなたと
あなたと・・・・
一緒に過ごしたいだけ
