1月18日 第3回 「Nっ子クラブ カンガルーの親子」の会



「子供の接し方 ~胎児期をふまえて~」(要約)



胎児期、お腹の中でどんなことが起こって、赤ちゃんは成長していっているのか・・・ 



4ヶ月頃~ 



「足蹴り運動」が始まります。胎児9~15cm。羊水の中でくるくると回りながら手足の運動を開始していく。そうやって手、足、体を鍛えています。子宮のスペースが広いのでお母さんは赤ちゃんが動いていることに気が付いていません。



5ヶ月頃~ 



眼球が活発に収縮が始まります。見えているということではなく動きだすという感じです。



6ヶ月頃~



ようやく脳にシワが出来始め、いわゆる脳みそというものになっていきます。この頃は見えないけれど、起きている時は目が開き、寝ている時は目を閉じるという運動が始まります。足蹴り運動ももっともっと強くなり、胎動を感じる方もいらっしゃいます。体もぐーんと大きくなり、子宮の中で思いっきり手足を伸ばせずに、子宮壁に押し戻されてしまいます。



7ヶ月頃~



この頃になると目の膜がなくなり、「見る」という機能ができてきます。体はどんどん大きくなり、お腹の中で丸まった姿勢になってきます。胎児の足蹴り運動はますます激しくなります。スペースが狭くなるので、押しては戻されるという繰り返しで自主トレをしています。だから、この足蹴り運動がとても大切です。



みなさん、この頃に生まれている方が多いようですが、それではこの後、お腹で出来なかったことはどんなことでしょう・・・。



狭い狭い子宮の中で赤ちゃんは丸くなり、否が応でも手が口に入るようになってきます。そこで、全身運動よりも細かい運動が頻繁になってきます。見たことはないですが、臍帯を握って遊んでたりするそうですね。締めすぎると自分の首を絞めることになるので、力の加減することを覚えるそうです。指で歯磨きをしたり、指でリングを作って遊んだりしています。この時期に人間の一生に必要な巧緻(こうち)的なものを覚えていくといわれています。この経験がないまま産まれてきたお子さんが多いのじゃないでしょうか。



頭が下に下がり、皮下脂肪がついてきます。そうすると、硬いものとか刺激のあるもの皮膚にあたっても大丈夫になってきます。早く生まれたお子さんは痩せたお子さんが多く、皮下脂肪がつきにくいので、感覚の刺激というものに私たちが感じる以上に過敏に反応してしまいます。この頃、脳の表面はもっともっとシワが増えてきます。





「聴く」ということについても外の音、人の声を聞き分けることができます。羊水の中というのは、雑音を消してくれ、お母さんの声、お父さんの声を聞き取りやすいのです。私たちはいろんな音があっても、余計な情報を除去して必要な情報だけを聞き取ることができます。でも赤ちゃんにとっては、すべての音が情報としていっぺんに全部入ってくる状態です。いろんな音から必要な情報を選択して聴くというのはとても難しいことです。音楽をかけながらとか、ガヤガヤした中ではなく、ほんとに静かな環境で、あげたい刺激だけをあげるようにしてください。そして、しっかり抱きしめて、体に響かせるようにして話しかけてあげてください。



「見る」という反応については、光を追視し、眼球運動が出来てきます。この8~10ヶ月の眼球運動をせずに産まれてきているので眼球を動かすことがとても苦手です。ですから、おもちゃをゆっくり、小さな幅で動かしてあげることが大切です。パッと動かされても赤ちゃんにはわかりません。目で追えるようになっていくのを確認ながら、おもちゃ動かす上下左右の幅を徐々に広げてください。また、強い光は避けてあげてください。感覚の刺激というのが過剰に入りやすいので赤ちゃんにとっては不快です。



先ほども話しましたが、皮下脂肪が少ないので、感覚を衝撃として受けやすいのです。それで早い刺激、パッパッっパッと触る、鋭角なものでの刺激は避けたほうがいいです。



狭い子宮の中で、窮屈な状態で過ごすことがなかったので、自分の手や足に触れてきた経験が少ないので、丸く抱いてあげて、しっかりとゆっくりと触ってあげてください。オーシャンウェーブ、つまり波のように一定のリズムで揺らしてあげるのもいいですね。赤ちゃん、幼児期のお子さんがワーッと興奮して泣いているときもギューと抱っこして、揺らしてあげると落ち着くことが多いです。その際、手を握ってお母さんの顔につけながらお話してあげるのもいいです。それと、抱っこしたまま、荒々しく歩かないこと。子供さんは衝撃として受けます。



お子さんがしかめっつらしている、驚いている、泣いているというときは、お腹がすいたというのも多分にありますが、自分の触り方はどうかな、姿勢を変えたからかなと、自分が与えた刺激というものをもう一度考え直してみてください。



いつも病院でいろんなお母さんを見て思うのですが、お子さんの先の見通しがたたなかったりとか、どう育てていっていいのか、どう接していっていいのか分からなくて余裕のないお母さんが多いです。でも、だんだんそれが分かってくると、お母さんの余裕が出てきて、笑顔が出てくる方がとても多いのです。だから不安だな、と思うことがあったら、病院の先生やセカンドオピニオンとしてリハビリのスタッフに意見を聞くことも大事だと思います。市や県での発達相談を利用するのもいいと思います。よりよい育児につながり、お母さんもお子さんも笑顔で過ごせるといいなと思っています。



(※)リハビリ、医学に疎いママがテープを書き起こしました。省略した部分もあります。専門用語などよく聞き取れず、もしかしたら間違った表現になっている部分があるかもしれません。あしからずご了承ください。もし、事実が違うなどご指摘がありましたら、是非ご連絡ください。