(Photo by Cunard)

みなさん、こんにちは。

 

2010年10/11、母港サザンプトン

でエリザベス号の命名式直前に

女王が訪船されました。

 

今回は

エリザベス女王と客船のお話です。

 

*96歳の生涯で計8隻を命名

世界中の人々に賞賛された女王は、

英国キュナード社の3隻を命名。

 

カッコ内は命名された年です。

 

クイーンエリザベス2:QE2(1967)

クイーンメリー2:QM2(2004)

クイーンエリザベス:QE(2010)

 

また女王は全3隻の「エリザベス号」

の命名式に出席された、唯一の王族。

(Photo by Cunard)

 

命名式の様子はこんな感じでした。

(Photo by Cunard)

最上段は、現在のエリザベス号です。

下段の左が、2代目のQE2。

 

下段の右は初代QEでした。

お母さまのエリザベス皇太后が命名。

左に12歳の女王と妹のマーガレット

王女(8歳)が同席されています。

 

クイーンの名を冠した女王船。

 

命名し訪船はしても、女王は

どの船でもクルーズをしていません。

 

それは何故でしょう?

 

その答えを出す前に、

大切な船をご紹介します。

 

*44年も乗船され約180万Kmを航海

女王が27歳で最初に命名したのが

ロイヤル・ヨット・ブリタニアです。

(By Marc Millar Photography)

5769総トン、乗組員230人。

王室専用船でした。

 

チャールズ皇太子とダイアナ妃は

本船でハネムーンをされましたね。

 

最終の外航ミッションは1997年で、

あの歴史的な香港返還でした。

 

返還式は7/1でしたが

その前に那覇、神戸、東京にも

来航しています。

 

エリザベス女王とご家族にとって

「最もリラックスできる家」という

本船でしたが、同年12月に退役。

 

退役式典に出席した女王の姿が

翌日のニュースになりました。

(Photo by Getty Image)

感情を表さないことで有名な女王が

初めて涙を見せたからです。

 

その後、エジンバラ公の葬儀でも

痛々しいほど気丈なお姿でしたが

涙は流さず。

 

ブリタニア号とのお別れ、

どんなに辛かったことでしょう。

 

でも、本船は船齢44年でした。

 

改装に1700万ポンド(約32億円)

もかかり5年後には再改装も必要...。

 

新造船のプランもありましたが

政府に却下されてしまったのです。

 

*船旅しない歴9年後にブレイク!

船が好きでオーストラリア等にも

ブリタニア号を利用していた女王。

 

その後、80歳のお誕生日が

大きな転機となりました。

 

以下の小型ブティック客船を

チャーターすることにしたのです。

(ⓒAyako Yoshida)

ヘブリディアン・プリンセス。

2112総トン、客室29室、乗客55人。

 

スコットランドを起点にしたクルーズ

を展開している小さな船社です。

 

メインマストに英国商船のしるし

レッド・エンザインが揚がっています。

 

これは同じ柄のカフリンクス。

(ⓒAyako Yoshida)

エリザベス女王が、生涯で

クルーズした商船は本船のみでした。

 

夫が執筆した1995年版の

「クルーズ専科」で、5★を

獲得したこともあります。

(写真:「クルーズ専科」)

船内は英国のカントリーハウス風。

(ⓒAyako Yoshida)

レセプションもB&B風です。

(ⓒAyako Yoshida)

客室は全てスコットランドの島名で

上陸&帰船は、札を裏返すシステム。

(ⓒAyako Yoshida)

客室に鍵をかける人は誰もいません。

プライベートヨットとはこんな客船?

 

女王が80歳のバースデークルーズで

本船を選んだのがよく分かります。

 

家族を招いて、一週間過ごしたとか。

 

夫が英語版の拙著を女王に寄贈したら、

お礼のレターが届きました。

(ⓒAyako Yoshida)

女王は本船をとても気に入られ、

2度目のチャーターもされたのです。

 

*選ばれた理由とは

ヘブリディアン・プリンセスは

理想的な条件をそろえていました。

 

これは本船の担当者に聞いた話です。

・保安上の問題

・安全な食事

・乗下船に便利

 

超VIPそれも君主ともあれば、

一般の客船では警備が大変でしょう。

 

ご本人も客室から出にくいはず。

 

でも貸し切り可能な小さい船なら

問題ありません。

 

また女王は甲殻類を食べない等、

食品に関して安全上のルールが

けっこうあったそうです。

 

調理は専用シェフが乗船して担当。

冷蔵庫や貯蔵スペースも事前に確認。

 

またクルーズは9月だったようで

夏の邸宅バルモラル城から近くて〇。

 

*世界で「ワン&オンリー」の客船

女王陛下のお気に入りというお墨付き

を戴いた本船には、何気なくこれが。

(ⓒAyako Yoshida)

拡大してみましょう。

(ⓒAyako Yoshida)

女王の御用達、ロイヤルワラント。

カラーだと、迫力ありますよね。

 

これ、今後どうなるのかしら?

 

実は2024年、

年内に大きな節目を迎えるのです...。

(次回に続く)