みなさん、こんにちは。

 

写真はカリブ海のグランドケイマン島で撮ったものです。

世界一周クルーズのあいだ、私はこの「テディベアおじさん」を見るのが好きでした。

 

どの寄港地でも、テディと一緒。この日も三脚を持ってテンダーボートで上陸すると、

このベストスポットを見つけて、すっかり自分の世界へ。

 

どの寄港地でも、自分は写真に入らないのが彼の流儀みたいでした。

たまに他の乗客から「ご一緒にお撮りしましょうか」と声をかけられていましたが。

 

お孫さんに送るのかな。それとも、自分のために?とにかく、こんな楽しみ方があるんですね。旅のコンパニオンを連れての「二人旅」。でも、いま世の中はおひとり様の時代です。

 

一人用炊飯ジャー、お一人様の御節料理、ひとりカラオケ、おひとりさま限定バスツアーなど。

クルーズだって、最近はソロ・クルーズに力が入ってきました。

 

今日はおひとり様に優しい客船をみてみましょう。

以下は、シングルキャビンをもつ船です。

 

1)ノルウェージャン・エピック(約15万6千トン、乗客4100人)

「クールでヒップ」なカプセルホテル風の内側キャビンが、128室。9平米とコンパクトですが、共有のラウンジがあり、無料カプチーノも楽しめますよ。お手頃価格なので、お試しでも。

 

2)スピリット・オブ・ディスカバリー(約5万8トン、乗客約1000人)

全キャビンの15%がシングル室という最も高率を誇る50歳以上限定の「大人な船」。

ヒースロー空港から港まで、無料の送迎車がつくのはありがたいサービスです。

 

3)クイーン・エリザベス(約9万1千トン、乗客2101人)

2014年の改装で、海側8室、内側1室の計9室が出来ました。カジノの裏側ですが滞在して

みるとノイズはまったく気になりません。すぐ完売してしまうほど人気です。

 

2022年春に日本発着クルーズを予定しているクイーン・エリザベスは、今年1月末に

ソロ・クルーズの新料金プランを発表しました。

 

1人で海側バルコニー客室を使用すると通常175%の料金ですが、150%に。

客室数限定とはいえ、かなりお得な設定でお一人様を歓迎していますね。

 

特に5月8日横浜発の日本周遊では、ビートルズなどの英国テーマクルーズになるそうで

GW後とはいえ、きっと多くのファンを引きつけることでしょう。

 

さて、ソロ・クルーズで気になるのは、お食事です。

一人で食べるのも寂しいし、かといって他のカップルと一緒では疲れるかも?

 

いえいえ、ご安心下さい。指定席の船では、お一人様用のテーブルを用意しています。

全員がソロですから、話も合うはず。希望により、他の席へ変更もできますよ。

 

イベントやアクティビティはどうでしょう?クルーズの初めに「シングルズ・パーティひとり旅の集い」などというイベントが船内新聞に載ります。

 

これに参加すると、ソロで乗船している人の顔が分かるんです。

その場で話さなくても、エレベーターを待っている時などにバッタリ会えば会話のきっかけに。

 

また入港日は、「お一人様限定:よかったら一緒に寄港地を散策しませんか」という案内が

船内新聞に載ることも。時間になったら、レセプション前などに集まります。

 

ずっと自由にひとりで楽しみたい人もいれば、知り合いをどんどん増やしたい人もいます。

以前も書きましたが、クルーズはひとりの時間とみんなの時間が選べるのが素敵です。

 

「ひとり旅」を満喫していた、アメリカ人の女性を思い出します。旅というより正確に言えば、

ベアトリクス・ミュラーさんは先代クイーン・エリザベス2(QE2)に14年間も「住んで」いました。

 

生涯、4デッキのキャビン一室を買い取っていらっしゃったのです。

結局は、本船が引退することになったため、2008年まででしたが。

 

かつてご主人とお二人で乗船され、クルーズを楽しんでいらっしゃいました。

ところが世界一周クルーズ中に、本船上でご主人が他界されてしまったのです。

 

息子さん達の薦めもあり、思い出がたくさん残る本船に引っ越すことになりました。

「老人ホームより楽しいし、ドクターもいて安心。友人も沢山いるから、ここが好き。」

 

彼女はレストランに2席をキープしていました。

一人で食べる席と、フォーマルなどの日はオフィサーや他の乗客と食事する大きな席です。

 

日中は、いつも船内でつばの広い帽子をかぶり、赤やブルーなど明るい色の服が好きで

オシャレな方でした。毎日違う帽子で、帽子と箱の倉庫を持っていたみたいです。

 

ランチ前にはいつも同じバーでドリンクを一杯飲んでから、レストランへ。

ディナー後は、ダンスをするのが日課でした。

 

クルーが休暇から戻ると、まるで船上ママさんのように「ウエルカムバック!楽しかった?」と

聞くのです。ときどき米国から来る息子さんと一緒にクルーズしてましたね。

 

彼女は、ひとりの時間と皆で過ごす時間を優雅に使い分けていました。それが楽しそう。

ある時は、大きな窓があるクイーンズルームのソファに腰かけて、静かに読書。

 

英米メディアで紹介されたいわゆる「有名人」だったので、彼女だと気がついた乗客が

話しかけてくることも、しばしば。

 

すると彼女は嫌がらず、偉そうなそぶりも見せず、乗客と愉快に話して笑ってるんです。

自然体でいいな、あんな風に歳を重ねたいな、といつも遠くから眺めていました。

 

2008年QE2の引退時に89歳だったミュラーさん。その後は他の女王船に移動されましたが体調を崩され、米国に戻って94歳で他界されたそうです。

 

生涯ひとりの人もいれば、家族がいても最後はひとりになることも。

みんな一緒、We are in the same boat.ですね。