モード~でもいいと考えてしまう自暴自棄になってしまう前に | 精神保健福祉士でメンタル心理ヘルスカウンセラーとマインドフルネスセラピストのa-yannのブログ

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自己紹介:はじめまして。メンタル心理ヘルスカウンセラーで精神保健福祉士のa-yannです。これから活動する内容を紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

 

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「することモード」から

「あることモード」へ

何かしなければ、何もできてない、などなど焦ることはないだろうか。

特に、うつ病の人は「自分が成し遂げたもの=自分の価値」と考えがちであることが知られているそうだ。

そうなると、ちょっとうつ状態が強くなり、その分仕事の能率が少し落ちただけでも「あーやっぱり私はダメだ」などと考えてしまい、負のループに陥りがちになることも。

ではどうすればいいか。

それは、少し走り続けることをやめて、今やっていることから距離をとって、淡々とそれを眺めて観察するモードでいること。まるで川辺で川の流れをぼーっと見ている感覚。

 

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俯瞰して観る力

少しズームバックしてみることが大事。

赤ちゃんは、ただただそこにいるだけで、周りの人を幸せにしてくれる。ペットのフカフカした毛並みを撫でているだけで落ち着いていられるようになるとか、

好きな人がいれば、ただただそばにいてくれるだけで、幸せになる。「あることモード」に時々スイッチを切り替えてもいいと思う。これも、ウェルビーイングなのです。

マインドフルネスに関連する様々な治療法に見られるモードの内容を理解しておくと、マインドフルネスを理解するうえで重要な「心の使い方」について分かるようになります。その時にもう一度、「マインドフルネスの定義」を見てみると、実はシンプルな内容だったんだなと感動するかもしれません。今回の記事では、おそらく一番有名なモードとして知られている「することモード(doing mode)」について、ご紹介したいと思います。

 

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1. することモード

私が最初に「することモード」と見聞きした時は「意訳が相当されているのかな?」と思いました(←心理学の訳って難しい言い回しや漢字羅列系が多いイメージがあるので)。しかし、原語は doing mode ですので、実はそのままの訳なのです。することモードは、マインドレス・・(マインドフルではない状態)の代表的なモードの1つです。このように紹介してしまうと、あまり良くないモードなのかなと思うかもしれません。しかし、することモードは目的達成のために行動を駆り立てられている状態ですので、目的達成に役立つこともあります(日常生活はほとんどすることモードで活動していると言っても過言ではないかもしれません)。しかし、することモードで生活を続けるとで心が疲れてしまうことがあるので要注意です。下のイラストは、することモードについてまとめたものです。1つ1つ解説とともに見ていきましょう。

 

すること2

 

判 断|「これは良い・悪い」とか「こうすべき・すべきでない」などの判断をしながら生活していると、心が落ち着かない状態になることがあります。そして、自分自身が判断の対象になった時、とても辛い状態になってしまうかもしれません。

 

憶 測|「ひょっとしたら・・」とか「こういうことを意味しているのかな・・」などと、仮説をもとにあれこれ考えていると、不安感が込み上げてくる状態になってしまいます。その不安感を取り除くために、憶測をさらにして準備しようとするかもしれません。

 

想 起|「確かあれは・・」などと過去のことを繰り返し考えて、原因などを理解しようとすると、後悔の気持ちが出てきたりします。そして、ますます原因を明らかにしたいという想いから、積極的に想起をしてしまうかもしれません。

 

自己批判|自分批判をすることで自分自身を鍛え上げようとしたり、自分の欠点を克服しようとすると、自分に自信がもてなくなってしまうこともあります。また、自分の長所も欠点として捉えてしまうこともあります。特に、何かに失敗したりした時の自己批判は必要以上に自分を追い詰めがちです。

 

感情への関与|どんな感情を感じてもかまいませんが、その感情に巻き込まれるような関わり方をしてしまうと、自分が想像もしていなかった行動をしてしまったり、ネガティブな考えから離れられなかったりしてしまうことがあります。

 

反 応|慣れている物事には何も考えずにいつも・・・の反応をしてしまいがちです。また、感情的になっている時は予想外の反応をしてしまうことがあります。いずれにしても、「反応」は本来の自分が意図していたものとは違うものがふくまれていることがあります。実は、反応に先立つきっかけは、その時々の状況で異なります。1つ1つ丁寧に「対応」できるといいかもしれません。

 

問題解決と決心|問題解決や決心に固執こしつしてしまうと苦しい状態になってしまいます。私たちが生活している世界は、自分が思うように解決できる環境ではなくなったり、そのタイミングではなかったりすることも多くあるように思います。頑なに問題解決をしようとしたりすることで、「判断」「憶測」「想起」「自己批判」「感情への関与」「反応」で悩むことも多くなるかもしれません。その時は「問題解決と決心」を柔軟に見直す時かもしれません。

 

 

 

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2. することモードの自分に気づく

することモードは日常生活を送るうえでは必要なモードかもしれません。ただ、することモードが過剰だったり固執こしつ的だとだと心身に影響がでてきまし、心が苦しい状態で生活を送ることになってしまうかもしれません。それでも、自分を甘やかさないで突き進むという考えになってしまっていたら要注意です。することモードをしているときの心理状況は人によって様々かもしれませんが、大きく分けると2つあると考えられます。

 

自分の不安を解消するための「することモード」
私たちのある行動が強くなる背景には、不安などを解消するために行われるものがあります。たとえば、「あさってのテストが不安だから勉強する」という感じです。勉強をすればするほど、「悪い点数をとるかもしれない」という不安が少し解消されます。この場合、不安を抱えながら勉強もするわけですから、非常に心が疲れてしまいます。
 
自分の喜びを増やすための「することモード」
自分の喜びを増やすために何かをすることは一見すると悪いことではありません(むしろ良いことです)。しかし、その喜びのために「することモード」を酷使しすぎると心が苦しくなっても「すること」を続けてしまいます。たとえば、「家族のために(=自分の喜び)、どんなに体が辛くても働き続ける」という場合を考えてみてください。この場合は、自分にも休息を与えるような「自分への優しさ」が大切ですし、家族や自分にとっても喜びとなると考えられます。

することモードを極端な形で使っている場合は、自分がどんなに苦しんでいても気づくことが難しい状態かもしれません。また、気づいていても、することモードを継続してしまうかもしれません。そんな時は「自分への優しさ(セルフ・コンパッション)」を気にかけてみましょう。そして、「あることモード」に変換して過ごしてみると良いかもしれません。

 

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3. あることモード

「あることモード」の原語は |being mode 《ビーイング モード》です。「あることって、何が?」と初学者の私は戸惑い、哲学的な感じの名称に身構えたものです。しかし、そんなに難しい話ではなく、簡単に言ってしまうと「(自分の思考や感情を)変化させようとしない」ということに近いニュアンスだということがわかりました。下のイラストは「あることモード」についてまとめたものです(私の中のあることモードは凧揚たこあげのイメージです)。

マインドフルネス-2|あることモード|今井正司|こころラボ

4. あることモードの要点

あることモードは「変化させようとしない」ということは、先ほど説明しましたが、これだけだとピンとこないかもしれません。ここでは、より具体的に理解していただくために、要点となるキーワードを紹介しながら、簡単な説明を加えていきます。

無批判・中立的|私たちは何か見たり、聞いたり、感じたり、考えたりするとき、いろいろと評価してしてしまうことがあります。カラスの鳴き声が聞こえてくると「うるさい!」と評価したり、頭が少し痛くなると「あのストレスのせいだな・・」とか判断したりします。日常生活では、あれは良いとか悪いとか、頭の中では絶えず評価や判断をしています。そのような状態から抜け出して、今自分が経験していること、今自分に起きていることを評価や判断をしないで、ありのまま受け入れてみましょう。たとえば、先程のカラスの鳴き声が聞こえてきたときは、「カラスが鳴いている」とだけ受け入れてみましょう。頭が少し痛くなったら「こめかみが少しチクっとしてる」と痛みをそのまま観察してみましょう。

 

瞬間に生きる|頭の中で何かを考えている時や悩んでいる時は、未来か過去のことについて考えていることが多いかもしれません。身体は「今ここ」にあるのに、頭(心)だけが過去や未来に飛んでいってしまっている「心ここにあらず」の状態です。このような状態では、現実を正しく見たり受け入れることが難しくなっていまします。今ここは「1秒後」の未来には1秒前の過去になります。過去も未来も今をどう生きるかで変わってきます。そう考えると、自分が今すべきことに意識を向けて暮らすことの大切さがに分かってきます。

 

注 意|私たちの頭(心)は多くの物事に興味をもっていて、いろんなことが浮かんでは消えて、常に慌ただしく活動しています。それは雑念と呼ばれてしまうものですが、雑念は振り払おうとしても振り払えません。それどころか、どんどん浮かんできてしまうことさえあります。そんな時は、自分が集中したいものにそっと意識を戻すだけでOKです。そのためには、自動的にぼーっと考えている状態に素早く気づく必要があります。そして、その状態に気づいたら、注意を向けたいものに向け直せばいいのです。それでもまた、気が逸れるかもしれませんが、100回逸れたら100回戻せばいいだけです。

 

対応性日常生活では1つ1つのことに深い注意を向けることなく、いつもの反応をしながら生活をしています。たとえば、歯を磨く時はいつもの手順で何も考えずに自動的に磨いている場合が多いと思います。また、家族と喧嘩する時は、咄嗟にひどいことを言い返すこともあると思います。これらは全て自動的な「反応」のパターンでり、自分自身の感覚が鈍感な状態や、過剰な状態の時に現れやすいパターンでもあります。言うまでもなく、これらの反応はマインドフルな表出ではありません。歯を大切にしたいなら、たまには歯の感覚を確かめながら丁寧に|磨みが「対応」が大切になります。家族と喧嘩になりそうになったら、ちょっと一呼吸置いて、言葉を選んでから「対応」することが大切になります。

 

認める私たちは自分が辛い時や後悔している時は、自分自身を認めたくなくなります。「こんな自分は嫌だ」「何でもっと準備できたのにしなかったんだ・・情けない」など、自分を恥じたり批判しふく、自分を恥じたり批判することで、自分の価値は高まるのでしょうか?そんなことはないということも分かっていても責めたくなる気持ちもわかりますが、あえて自分を認めてみるという方法も知っておいてください。「自分はとても辛い気持ちだな、この状況は誰だって辛くなるよ」とか「今度は準備できるようにしよう」と励ましながら自分を認めていくことだってできるはずです。自分を認めることは苦痛に耐えることを含んでいるので、辛い気持ちがすぐに楽になるわけではありませんが、自分を恥じたり傷つけることよりは、あなたの苦痛を和らげ、自身の価値を高めてくれると思います。

 

 

消極性|消極性という言葉の響きだけですと良いイメージではないと思います。反対に「積極性」は良いイメージかもしれません。しかし、積極性には「することモード」の側面があるので、判断を繰り返し行いながら、反応的に活動することにもつながりやすくなります。もちろん、目的を達成する時には積極性は大切になりますが、我を忘れた活動状態になってはいけません。消極的というのは「やる気がない」ということではなく、これらの積極性の反対の意味だと思ってください。具体的には、我を忘れるほどの積極性ではなく、何事にも少し距離をおいているような態度だと考えていただければと思います。

 

関与しない|私たちは無意識のうちに何でもかんでも関わってしまいがちです。たとえば、イライラしている時はイライラにずっと関わってしまいます。嫌なことが頭に浮かぶとずっと考えてしまいます。関わりたくないものほど自動的に長く関わってしまいがちです。それらの関わりを断ち切るためには「関与しない」ということを意識することから始めます。イライラしている時に、イライラしている自分の理由や正しさについて考えたりしても仕方がありません。嫌ことを感じ始めたら深呼吸する癖をつけて「気づき」を積極的に意識します。イライラに気づくことが「イライラしちゃってるな」と自分に声をかけて、必要以上に感情に巻き込まれないように距離をとり、自分のやるべき作業などに意識を戻します。

あることモードは、無になることやボーっとすることとは違うことを理解していただけたと思います。実は、これらの考え方は日本人には馴染みが深い考え方です。今から100年以上前に開発された日本独自の心理療法である森田療法にも「あるがまま」という概念があり、治療の中核概念です。不快なものであってもそれを受容し、変化させようとしない態度はすぐには身につけられないかもしれないですが、まずは意識することから始めてみると良いと思います。

 

参照: