こんにちは、
目黒区東が丘「山本ファミリア皮膚科 駒沢公園」
院長の山本綾子です。
今日は、漢方薬がこんな風に
アトピー治療の助けになりますよ、というお話をします。
もともと、
私が「アトピー発症機序理論」を発見してから、
『ステロイド外用+運動療法』
という、ステロイドの効きを非常に良くする、
そして、湿疹が湧いてくるのを止める方法を見つけてから、
どんどんアトピーの治りは良くなっていたのですが、
「あまりにも血流が悪すぎて、
ちょっとやそっとの運動療法如きでは太刀打ちできない」
という、すごい症例にも何度も出会ってきました。
湿疹発症の原因は私も患者さんも分かっているのだけれども、
あまりにも身体がガチガチであったり、
あまりにもメンタルのダメージが大きすぎたり、
あまりにも胃腸などの臓器がやられていたり、
さすがに保険診療で教える数分の運動如きでは治せない方たちが
ときどきいっらしゃいました。
当院を開院してから、
すこしずつ漢方薬について勉強してゆくうちに、
身体のどこが問題か
(例えば、血流低下だったり、瘀血だったり、胃腸機能低下だったり)
ということが、はっきり見定められるようになると、
その患者さんに最も必要な漢方薬が
はっきりわかるようになってきました。
実際、当院を受診するまで、
漢方薬を使ったことはあるけれど、あまり良くならなかった
という患者さんはたくさんいらっしゃいます。
しかし、
「皮膚の下でどんなことが起こっているか?」
を読み解く訓練をしっかり積んできた皮膚科医が処方すると、
びっくりするくらい、よく効くことがよくあります。
最近あった実例をお話しましょう。
陰部がふやけてしまうような湿疹が続いていた患者さん。
痒くて痒くて、リンデロンを外用しても治らない。
お聞きすると、
胃がずっと悪く、ちゃぽちゃぽ
胃液の音がするような状態。
内科の先生から漢方薬が一年以上出されているけれども、
胃の状態はさほど改善せず。。。
そんなとき、当院を受診されました。
陰部の湿疹が「浸軟(しんなん=ふやけていること)」
していることに、私は注目しました。
胃液がちゃぽちゃぽするくらい水分が溜まっているから、
陰部もふやけているのではないか?
そう考えて、
私は、胃腸に効く薬の中でも
「利水(りすい=多すぎる水分を整える)」
に効果のある漢方薬に変更してみました。
すると、どうでしょう?
1年以上改善しなかった胃の状態が良くなっただけでなく、
陰部のふやけた状態やかゆみが
引いて行きました!!!!
そうです、
陰部のかゆみが
実は、胃の状態が悪いためだったのです。
でも、これは、「陰部は胃の状態を表している」
という意味ではありません。
胃腸機能は、水分吸収を司りますので、
胃腸機能が低下すると、
「水毒(すいどく=水分が多過ぎる状態)」
になってしまいます。
陰部の浸軟(=ふやけ)が、
胃腸機能低下から来ていたのですね!
漢方薬もたくさんの種類があり、
胃腸に効く薬も、
数え切れないくらいあります。
その中から、
「この患者さんの身体の中で起こっていることは何なのか?」
をしっかり読み解いて処方すると、
「ビンゴ!」
と叫びたくなるような、ぴったりの漢方薬に出会えることも
あるのですね!
当院では、
「これまでステロイドなんて効かなかった」
「これまで漢方なんて効かなかった」
という患者さんたちでも、あれ?というほど
効いてくるケースを何度も何度も見ています。
それは、アトピー発症機序を理解した上で、
皮膚をじっくり診察して、
皮膚の下で起こっていることをしっかり読み解いているからこそ。
直接、肌と全身をじっくり診ているから
できる技なのです。