こんにちは、
目黒区東が丘 『山本ファミリア皮膚科 駒沢公園』
院長の 山本綾子です。
今日は、脱ステ患者さんから時々聞かれる、この質問について。
「ステロイドって、絶対使わなきゃダメですか？」
これについて、
私、山本綾子が一皮膚科医としての
個人的考え方をお話したいと思います。
（勿論、医師によって考え方は様々でしょうから、
私の診察では、と思ってくださいね）
まずは結論から。
「医学的に社会生活を送るうえで
必要があると判断するときは、ステロイドを処方します。
しかし、
現在、社会生活上、
大きな問題がない場合や緊急を要しないと判断するときは、
患者さんとステロイド使用をどうしたいか相談します。」
ポイントは、「医学的に」「社会生活がまともにできるか？」です。
あまりにアトピーが酷く、全身から浸出液が出ていたり、
アトピーが酷すぎて、身体が曲げられないような場合は、
明らかに「医学的にステロイドを必要とする状態」です。
もうすでに、日本国憲法の「基本的人権」が危うい状態ですよね。
人として、とても「健康的な生活」が送れないのは問題です。
この場合は、「医師として見逃すことはできません」から、
ステロイド処方が必要です。
かゆくて掻いてしまうことはあるけど、
湿疹があることで、とくに社会生活は制限を受けていないよ、
という患者さんの場合は、ご本人さんと相談ですね。
「ステロイドはなくても、運動療法をやって改善させます」
という方の場合、ステロイドを処方しないこともあります。
もう一つ、
私がステロイドを使う理由があります。
それは、
「その患者さんの本当に問題のある部位を見つけるため」
ステロイドを上手に使えると、
ぐっと全体の炎症が抑えられるため、
「治りの悪い部位」が見えてきます。
それこそが、
「徹底的に改善すべき身体の部位」。
私の診察でも、よく、
「治りが悪くて困っている部位はどこですか？」と
聞きますが、その理由は、
その治りの悪い部位こそが「治療ターゲット」だからです。
ステロイドは、
「アトピーを治してくれるもの」ではなく、
アトピーを治すための「最高のヒントをくれるもの」なのです。
アトピーを治すのは、
ステロイドではなく、「患者さん自身の身体改革」しかないのです。