アトピーからのプレゼント、それは「今、私、ここに生きています!」 | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

こんにちは。今日は、前回の30代女性のその後のお話をします。(前回ブログはhttp://ameblo.jp/ayakoder/entry-11479545020.html


「自分が辛かった」のだということ、辛い心を封印して、感じないように生きてきたのだということを自覚し、「自分の心と仲直り」をした彼女には、さまざまな変化が現れました。

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 「つらかった」ことが自覚できるようになってから、色々なことに以前よりも敏感になっている気がします。比較的暖かかった今日の昼間は、走りに行くとなんとなく春のにおいを感じつつ、車の排気ガスがいつもより気になったり、長距離走ったせいもありますが、いつもよりも脚の重さをより感じたり(ある意味、感じない方が楽なんですけど・・・怪我するよりマシかも)。でも、まるで自分の心がぬいぐるみのように肩の上にちょこんと乗っかっていて、地に足をつけて走れることがいつもよりも嬉しく思えました。

     

         (中略)

・・・自分でびっくりするくらい、怒りの感情が減った気がします・・・

         (中略)
おかげさまで、私は私でいいんだ、と感じられるようになってきました。誰のためでもなく、私のためにアトピーを完治させたい、ということに気がつきました。

綾子先生、この数日、根気よく温かく見守っていただき本当にありがとうございます。自分の心と身体に近づけたことに感謝しています。

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自分の心と仲直りをして一件落着かのように思われました。


が、私は、彼女が、「ブログのキラキラした皆さんは素敵だな、と思うのだけれども、自分とは違う、自分にはあのようになれないように感じる」という言葉に引っかかっていました。どういう意味だろう???


また、彼女が「手に入れかけたものを手放してしまうクセ」がある、と言っていたことにもひっかかっていました。


う~む・・・


どうしても気に掛かり、私はこのように彼女に提案してみました。


「自分の心と仲直りできて、いろいろと変化も現れてきたので、ブログでこのことを紹介してもいいかな?」


彼女は、「嬉しいです。よろしくお願いします!」と答えようとした、と言います。


ですが、次の瞬間にこう感じたそうです。


・・・そう伝えて終わりにしようと思ったら、また私の心は置いてきぼりにされた気分になってしまいました。また悲しい気持ちが沸き上がってきました。」


そして、彼女はこんな話を私にしてくれました。

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あと少しのところで治らなかった高校生の頃のことを思い出して、ものすごく怯えてしまった。治療前後の比較写真付きで書籍に掲載されたのに、結局その後、そのまま完治できなかったことが、今思えばとてもショックだったはず。今日のブログのお話を聞いて、このことを思い出したと。また完治までいかなかったらどうしよう・・・絶望的な気持ちになったと。

負けぐせみたいのができてしまっているんじゃないか?当時も急に悪化したわけではなく、何となくズルズルと悪くなり、まあ生活はできる状態。明らかに見かけの劣等感を持ったまま、治療らしいことをその後自らすることはなかった。エスカレーターよりも階段、とか、自己流に姿勢や歩き方を気にするくらいのことはずっとしていたつもりだったけれど、その程度。

私の心が「つらかった」と気がついた先日よりも、今日ははるかに落ちこんだ。あの時、「つらかった」ことを自覚できたから、もうこんな気持ちになるとは思わなかった。

怖くて、つらい。掴みかけたものをまた手放してしまったんだ。やっぱり私は綾子先生のブログの皆さんとは一緒になれない。真剣にそう思った。

その時、なんとか綾子先生の言葉を思い出して、やり直してみようと思った。怖くてつらい、ただそれだけを自分の中で認めようとした。。。

しばらくすると・・・当時、とてつもなくつらくて悲しかったはずなのに、何となく日々が流れて、私の心が置いてきぼりになっていたんだ。もちろん誰にも話したこともないし、自分の中でも自覚していなかったんだ。どれだけアトピーの自分が嫌だったか。アトピーなんて嫌、とは間違っても感じて口にしてはいけないこと、だと思い込んでいたんだ。

だから今日こんな気持ちになったんだな、ということがやっと分かった、と。

          

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「自分の心と向き合おう」そう心に決めた彼女は、辛くて怖い気持ちから目を背けることなく、勇気を持って向き合いました。


そして、それによりこんなことを学びました。


『”つらい。つらかった”を今までの分だけ消化させるのは、自分の予想をはるかに超えて大変な作業のようです。でも、今後はそんな気持ちが湧いてきたら、当時の分だけ、替わりにただひたすら感じよう。そうすればひとつずつでも片付けていけるような気がします。


『こんな気持ちの揺れ動きがあって、その幅が自分でも戸惑うくらい大きくなってしまったけれど、でも、他者の目を気にすることなく強がることなく自分の心を感じ取って生きる。そっか、これが「生きているを感じる」って、ことなんだ!』 


 彼女は、自分の心と向き合うことを決めてから、一歩一歩、着実に前に進みだしました。


 ですが、私にはまだ、「掴みかけたものを手放してしまうクセ」にひっかかっていました・・・


 「もしかしたら、以前の温泉療法で治りそうで治らなかったことがトラウマになって、アトピーもキレイになりすぎることが怖いということはない?”手に入れる直前の、手に入らなかったらどうしよう”という恐怖感があるのではないか?」


 しかし、この私の言葉に彼女は違和感を感じたそうです。


「皮膚がキレイになりすぎたら、完治直前の恐怖がある・・・わけではない。そもそも皮膚がキレイになりすぎる、という発想がない。「完治直前の恐怖」ってそもそも何だろう?」


そう考えてゆくことにより、彼女は一つの事実に気づきました。


「当時の自分の肌が実際にどの程度だったかを思い出せない。もしかして、今の方がマシなくらいかも!? それなのに、それを「完治直前」だと認識していたと思うとなんだかバカバカしくて苦笑いしてしまいました。

そもそも自分の状態を把握できていないのに恐れるって、どれだけちっちゃいんだか。本気で「完治」したかったら、自分の状態がこうあってほしい、というのがあったに違いないのに、きっとある程度普通の生活ができればそれで満足=完治、と考えていたような気がします。

ただし、そうなると、当時の治療は本当に自分のために自分でしてきたこと、とは考えにくくなります。治療そのものは当然自分ひとりの体ではできないので、家族の手助けで成り立っていたのですが、本気で「自分のアトピー」を完治させよう、とは思っていなかったのかもしれません。助けてもらうことに引け目を感じながら、「普通でない=治療中」の状況からとにかく早く脱したい。今思い出すとそうことだったような気がします。

恐ろしいな・・・と思いました。「私のアトピー改善」のために周りの人たちに協力してもらっていたはずなのに、そこに私自身が存在していなかったかのように感じました。なぜなら、自分が病気である、という認識を避けていたからです。もちろんそれは、自分だけ特別、は嫌だったから。普通でありたかったから。だから、自分の認識として「病気でない」のならば、「治療する」という発想にも至らない。「治療することもどこかで他人事」だったのかもしれません

「自分はアトピーという病気持ちである」という事実そのものを無しにしようとしていたようです。ぞっとしました。それでは、自分の心身の状況を把握できたはずもありませんよね。。。」

こんなふうに語った彼女に対して、私はこう言いました。


「”かわいそうな、アトピーである”状態が嫌なはずだったけれど、いつの間にか、「アトピーである私」を否定していたのかも知れませんね。

だから、温泉療法をしていたときも、「自分のため」という、「自分」を中心とした考えよりも、「周りのみんなが心配してくれているから」とか、「このかわいそうな状況を脱するため」とかの気持ちのほうが強かったのかもしれません。

「自分自身を大切にする」

それは心も体も。

それは「自分こそがこの人生の主人公」という意識につながります。それこそ、”ワタシ”がこの身体を使い、”ワタシ”がこの心を持つ、生きてる、って感覚。

「なんだか身体の感覚がわからない。」

この気持ちは、”ワタシの身体”をコントロールしているのが、”私自身”という気持ちが少なかったからかもしれません。なぜって、私の身体=アトピーだったから。アトピーの身体は嫌いだったから。

私はかわいそうなんかじゃない、かわいそうなアトピーなんかじゃない。
この「アトピーの身体」は私のものなんかじゃない。

もしかしたら、そんな感覚があったのかもしれません。

自分の「つらいよ」という「気持ち」を封印しアトピーである「身体」を認められなくて、もしかしたら、自分の心も身体も否定してきたのかもしれません。少なくとも、否定はしていなくても、大切にしてあげられなかったのかも知れません。

アトピーは心身からのストライキだったように感じます。」


この言葉で、彼女はこれまでのモヤモヤした自分の心を整理できたようでした。


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『目の前に困るものが存在する時、究極の選択肢は2つ。相手を消すか、自分が消えるか。自分の心と身体が既にバラバラ状態の時に、「つらい」気持ちを封印するために、言葉を封印し、病気であることを頭の認識から消し、感覚を消し、最後に存在そのものを消す。。。

「私自身が存在していなかったかのように感じた」というのは、ズバリ「全否定」です。言葉にすることも悲しいですが、心も身体も全てです。この世の中にいなければ、生まれてこなければよかったのに、と真剣に考えたことが何度もあります。今回の最初の「悲しくなった後、無気力になる」の時も考えていました。実際にはやろうとしたことはありませんが、それこそ電車事故でも起こして、皆に迷惑をかけたくないから。

今回、今までのアトピーや治療のこと(温泉以外も含めて)を思い出した際に、自分自身がまるでその場にいなかったかのように感じられました。それは、心と身体がバラバラで、しかもその両方とも、自分の血が通ったものとは思えていなかったから、だと分かりました。「なんだか身体の感覚がわからない」状態だったのも、これで説明がつきます。

だから、周りの人たちのことについては、ない自分なりの頭で考えようとするけれど、自分は自分にとって存在しきれていないのでどうでもよくなる、という傾向にあったのだと思います。それが、「自分のことが他人事のようになってしまう」ことや、「どこかで引いてしまうクセ」につながっていたのです。
他人が満足してくれれば、自分のことはどうでもよかったのです。』


「自分こそがこの人生の主人公」。それこそ、”ワタシ”がこの身体を使い、”ワタシ”がこの心を持つ、生きてる、って感覚。。。綾子先生の言葉、そのまま頂きます! 私が「つらい」という感覚を認識できた瞬間から今日までで、やっと、やっと、私が私であることを認めることができました。

「今、わたし、ここにいるよ」。今日一日、私の頭の中を回っていた言葉です。存在していることが、何だか嬉しかったのです。

アトピーストライキ、めちゃくちゃ長かったなぁ。
これで沈静化してくれると思います。』


彼女は、自分と向き合うことを決めてから苦しい時間を過ごしました。たくさんたくさん苦しみ、涙も流しました。


ですが、ようやく、自分の心・身体の両方と仲直りすることができ、バラバラだった心と身体がようやく握手し、お互いを認め合うことができました。


そして、「今、私、ここに生きています!」を実感できるようになりました。


長い道のりをようやくここまでたどり着いた彼女は、大好きなマラソンの大会に参加したあと、こんな風に話してくれました。


『今日のハーフマラソン、めっちゃ楽しかったです!
今まで以上に、自分の身体で走っている実感、色々なことを感じ取れて、まさに「私、生きてる!生きてて良かった!」と思えました。風の冷たさ、日差しの暖かさ、コースの景色や起伏の変化、沿道の声援のありがたさ、そして自分の体調・・・。色々なことを感じることに忙しくて、自分の走りに集中しきれないくらい(笑)ペース管理が大変で、ある意味いい経験になりました。』


以前のブログで、私の経験をご紹介しましたが(http://ameblo.jp/ayakoder/entry-11420407329.html )、

自分自身の心身と仲直りを果たすと、まるで凍っていた心が溶け出したかのように、心が動き出します。


今まで感じていたはずのことが、まるで「本当はあんなものは感じていたうちには入らないわ!」と思うくらい、たくさんのことを敏感に「感じる」ようになります。


「感じる」ということ

「生きている」を感じるということ


アトピーを通して自分と向き合うことによって、こんなことができるようになると私は多くの患者さんを見てきて思います。


頑張ってきた人へのアトピーからのプレゼントなんじゃないかなと。


そういえば、彼女は「キラキラはアトピー完治の先にしかないように思う」と言っていました。


私は、こう思います。


「地に足をつけて一歩一歩、自分の心と身体を抱きしめながら、自分を大切にしながら、一日一日を大切にしながら進んだ者のみが、キラキラ輝くことができる。


アトピーを治すために、ということではなく、ただ自分を大切に、着実に歩んだ者のみだけが、キラキラになれる。


そして、アトピーのことを忘れて、毎日を頑張った者は、

ふと気づいた時に、アトピーから卒業している。


きっと、それは、心身が”もうあなたは大丈夫”と安心して、アトピーという症状が必要ない、と判断してくれるから。


アトピーの完治はキラキラの後にしかないのではないでしょうか。」

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