アトピーにはアレルギー検査が必要か? | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

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山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

こんにちは。今日は、患者さんからときどき聞かれる質問について書きたいと思います。


「アトピーのアレルギー検査って必要ですか?」


私は、アトピーの患者さんにほとんどアレルギ-採血をしたことがありません。よほど、その患者さんが強く希望されたとき以外は。


まず、患者さんの皮膚症状を見ていて、「この患者さんはアレルギーだなあ」と感じる人は、ほとんどいません。


ほとんどのアトピー患者さんがアレルギーではない、と言っても過言ではありません。


(受診された患者さんには「アトピー発症機序理論」を説明していますが、その理論の中にアレルギーを感じさせる記載がほとんどありません。また、アレルギーが主な機序であれば、運動療法でよくなることも説明つきません)



また、「ハウスダスト、ダニとかが陽性に出た」からと言って、じゃあ、地球上に、ハウスダスト、ダニがいない環境がありうるか?ということなのです。


どんなに防ダニグッズなんかを使っても、まめに掃除しても、ハウスダスト、ダニのいない環境なんて、この地球上ありえないと思いませんか?


しかも、ハウスダストなんかは、正常人でも半数は陽性に出るそうです(竹原教授が1学年100人の医学部生を対象に検査してみたところ、約半数に陽性が出たとか。医学部生1学年の半分がアトピーなわけもありませんし)


というわけで、たとえ検査してもそれにより改善が見込めるわけでもなく、意味が全くありませんし(宇宙に移住するというなら別ですが)、医療費の無駄ですので、私は基本的にアレルギー検査を行っていません。


ただし、花粉症があるとか、○○を食べるとじんましんが出るとか、明らかにアレルギ-の疑われる症状がある場合は、ひどい場合は命の危険が生じたりしますので(ソバを食べてショック死とかありえますから)、そのときは、しっかりアレルギー採血をする必要があります。


では、IgEやTARCはどうでしょう?


これまた、患者さんが強く希望されない場合、私は採血していません。治療の参考に全くならないので。医療費の無駄になるかなと。


IgEが高くてもきれいになってゆく患者さんなんてたくさんいます。このブログでも何度も登場する、私にアトピーを本気で研究させるきっかけをくれた男性(現在はアトピーを卒業している)も、初めて会ったときは、IgEが2万だったかな、3万だったかな、とにかく非常に高かったです。でも、ちゃんと治った。


私にとって、IgEが高いの?だから?という感じです。


IgEが高かろうと低かろうと、私は皮膚科医として全力でその患者さんをアトピー卒業にもってゆきますので。


IgEの高さは皮膚症状に完全に比例する訳ではないのです。

IgEが低くてもひどい人もあれば、高くても軽い人もいる。


つまり、IgEを検査したからと言って、治療方針は全く変わらないのです。


治療方針を決めるのは、ただひとつ。

皮膚の触った感じだけ!


何度もお話しているように、見た目(色)は全く関係しません。


赤い、茶色い、でお薬の強さを決めているわけではありませんから。


ステロイド外用薬の強さを決めているのは、皮膚を触った感じのみ!


触ってざらざらするときは強めのステロイド。

平らでカサカサのみのときは、弱めのステロイド。

そして、しっとりつるつるになったら、必ずステロイドは中止。


と、お話は長くなってしまいましたが最初の質問に戻ります。


「アトピーにはアレルギー検査が必要か?という質問に対して、私は、よほどアレルギーを疑う症状がない限り、必要はない、とお答えしています。