こんにちは。今日は、昨日あったお話です。
病院に19歳の女性が受診されました。ブログを読んできたと。顔も身体も全身本当にアトピーがひどく、ひどすぎて身体を動かすことすら辛いとのことで受診されました。
それは大変!すぐに楽にしてあげなくては!
そう思い、とりあえず顔だけでもステロイドを塗って、少しでも楽にしてあげようと思い、塗ろうとしたとき、こう患者さんに言われてしまいました。
「今まで、いろいろな病院に行き、さんざんステロイドを使ってきて、全く良くならないので、もう使いたくないのです。ですが、身体が痛すぎてどうしようもないので、全部治さないでいいので、痛みが治まる程度だけ、治してください」
え!?
せっかく、ブログを読んで私の診察室にまで来てくださったのに、目の前にいるのに、私は治すことができるのに、治してはダメなの???
診察時間には限りがあり、何時間もじっくりお話することが不可能なので、どうしても「全身は治さないで」という彼女の強い希望で、やむを得ず、腕と下肢だけの軟膏を処方しました。
ステロイドについて解説したもの(日経トレンディネットに載せた記事です。プロフィールのところにリンクはっています。)と、アトピー発症機序理論について書いたものをお渡しし、その日の診察はおしまいとなってしまいました。
この出会いが最後となることなく、私のアトピー治療に対する熱意とこれまでの実績に賭けて、もう一度診察室に顔を見せてくれることを心から願って。
診察室のドアを出てゆく時、私は心の底から彼女にこう言いました。
「絶対、もう一度顔を見せに来て!
アトピーは治るんだから!実際、治っているんだから!
まだ、20歳にもならないんだよ!
人生もったいないよ!私にあなたのアトピーを治させて!」
残念ながら、彼女のように、これまで本当にいろいろな病院を受診し、ステロイドを使ってきたけれど良くならなかったために、ステロイドと、なによりも皮膚科医に絶望し、信頼できなくなり、「もう絶対ステロイドなんか使いたくない」と思われている患者さんは、まだまだ多いのだと思います。
もちろん、その中にはステロイドについてしっかり正しい知識を持っていない、誤解している、ということもあるでしょう。
そして、皮膚科医が正しい使い方を教えなかった、ということもあるでしょう。
また、皮膚科医が患者さんを信頼させるだけの治療をしてこなかった、ということもあるでしょう。(明らかな改善があれば、どんなに口下手な医師でも、腕は信頼してもらえるでしょうから)
ですが、「アトピーなんて、どうせ治らない病気なんだ」と、患者さんだけでなく、皮膚科医も思ってきたことが最大の原因なのではないでしょうか?
もし、「アトピーが治せて当たり前の病気」と、誰もが認識するようになっていたら、改善もなくダラダラと治療する皮膚科医は、「医師として怠慢だ」と患者さんから思われるようになりますよね。
そうすれば、その医師は「腕が悪い」とレッテルを貼られますから、きちんと改善させようと、必死になって勉強するに違いありません。
また、患者さんも、「アトピーだから仕方ない」と思うことなく、「ステロイドを使っても良くなるわけない」と諦めることもなくなるでしょう。
そう、全ては、「アトピーは治りのわるい、つきあう病気」と医師も含め誰もが思い込んでいるから!
このブログを立ち上げた理由。
それは、「アトピーは治せて当たり前の病気」ということを広めたいから!
そして、アトピーを撲滅したいから!
この未来ある若き女性がアトピーのために自分らしい人生を諦めかけている姿を見て、私は、今やっている「アトピー撲滅プロジェクト」をもっと強く推し進めなくてはならない、と再認識しました。
今年はさらに頑張ります!
山本綾子