漢方薬は本当に根本治療なのか? | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

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山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

こんにちは。今日は、患者さんからの「根本的に治したくて漢方やっています」の言葉に私が思うことを書いてみたいと思います。


漢方薬は本当に根本治療になるのでしょうか?


私の答えはNOです。漢方もステロイドと同じく所詮対処療法です。


本当の根本治療ってなんでしょう?


例えば冷え症ならば、「なぜ冷えるかを考え、その対策をすること」が根本治療。


それを薬をのんでおしまい、では対処療法です。


こんな患者さんがいらっしゃいました。


30代でアトピーを発症したとき、ステロイドバッシングの強い時代だったので、漢方治療をしてきれいになったという女性。


約20年たって、アトピーがひどくなり、以前自分を治してくれた漢方医のところを受診し、いろいろ漢方薬を変えてもらったが全然良くならない、と。


初めて発症したときにはきれいに治してくれた漢方医ですから、腕はいいのでしょう。それでも、2度目の悪化のときには、漢方薬が効かなかった。


もし、漢方薬が根本治療であるならば、2度目に悪化することもなかったでしょうし、少なくとも、その腕のいい先生が処方すれば、きれいに治ったはずです。でも、治らなかった。


漢方薬も所詮、対処療法でしかないんですよね。


冷え症は、「自分で熱を作り出し、末梢まで熱を届けること」がうまくできない状態。その原因を放置したまま、漢方薬を飲んだって、結局は対処療法。


私は漢方薬を否定するわけではありません。


内服自体は悪くないし、内服したほうが治りが早くなることもあるでしょう。


ですが、「漢方薬も対処方法でしかない」ということを忘れず、内服時には同時に「なぜ、漢方薬を飲まねばならない症状がでているのか?」ということを常に考えながら、その治療もやるべきだと思います。