こんにちは。今日は、小さなお子さんをお持ちのパパ、ママが最も心配されていて、ときどき聞かれる質問について私の考えを書いてみたいと思います。
「アトピーは遺伝か?」
遺伝的要素は確かに存在することは否めない。
しかし、遺伝的要素をはるかに上回る後天的要素が大きく占めている。
これが私がずっとアトピーをみてきて感じるところです。
遺伝子と後天的要素について、こんなおもしろい報告があります。
まったく同じ遺伝子である「一卵性双生児」で、まったく違う育ち方をすると、同一遺伝子とは想像できないほど全然違う顔、性格になる。
これは、後天的要素がいかに遺伝的要素より強いかということを示しています。
また、東洋医学では 「内臓が健全であれば、多くの遺伝的素因は隠蔽(いんぺい)することができる」という考え方があります。
私が、アトピー患者さんをたくさん見てきて感じることと全く同じです。
生まれてすぐの赤ちゃんがひどいカサカサや湿疹になると、「遺伝だ」と思うパパ・ママも多いのかもしれませんが、こんな興味深い事実があります。
カサカサや湿疹がかなりひどい赤ちゃんのママはたいてい冷え症である。
ちょっとカサカサというレベルでなく、かなりひどい赤ちゃんのママに聞くと、ほとんど例外なく「私、冷え症なんです」とおっしゃいます。
「だから遺伝なんじゃないの?」と思われるでしょうか?
私はそうは思いません。冷え症のママのおっぱいの温度自体が冷え症のないママに比べると低いのではないか?
実際、冷え症ママの食事・運動を改善し、患者さんである赤ちゃんにも運動療法をしたところ、非常に改善しています。
以前、「冷たい食べ物・飲み物はダイレクトに身体を冷やす」とお話しました。
赤ちゃんにとっての食べ物・飲み物って何でしょう?
そう、ママからのおっぱいですね。
もし、そのママからのおっぱい自体の栄養に偏りがあったり、温度が冷たかったら?
赤ちゃんは冷え症になるに違いありません。
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というわけで、私とアトピーを卒業した患者さんの一致した意見は「遺伝子治療だけではアトピーは完治できない」です。
遺伝子治療により改善はするだろうけれど、食事・運動・こころの問題などあまりにも多くの要因が関係するので、遺伝子治療だけでは完治できない。
私はそう考えています。