今日は、医療の「本質」ということについて。
私が医師6年目のことだったと思います。まだ、アトピーについて何も見えておらず、とにかくステロイド治療を中心にやっていた頃です。(それでも、ステロイドの使い方は師匠の竹原先生直伝でしたので、何年もよくならない人を1週間できれいにするということは当たり前のようにやっていました。ただし、その頃は”中から湧いてくる湿疹”を止める術を知りませんでした)
皮膚科の診察についてくれている看護師さんがいました。40代かな、50代になっていたのかな?女性の看護師さん。
彼女はこんなことを言っていました。
「膝が痛くて、まともに歩けないから、整形外科に通って、痛み止めの飲み薬や注射をしてもらっているのだけれど、それでも、ずっと痛いままなんです。」
それを聞いて私はすぐこんなふうに答えました。
「膝が痛いのはね、太ももの筋肉が弱っているから。太ももの筋肉が弱いから、膝を持ち上げる力が弱くて、膝に負担がかかっているんです。
ということは、太ももを鍛える運動をすれば膝の痛みは軽減するはずですよ」
その場で簡単な太ももを鍛える運動を教えて、その会話は終了となりました。
そして、何週間かたったある日。
その看護師さんが、嬉しそうに私にこう言いました。
「先生!今まで、ずっと整形外科に通って治療しても治らなかったのに、先生が言っていたように、太もものトレーニングをしただけで、痛みが全くなくなりました!普通に歩けるんです!それも、お薬なしに!今まではお薬を使っても痛かったのに、今はお薬なしでも、痛くありません!」
その報告を聞いて、私もとても嬉しくなりなったとともに、この日本という国の医療の大きな問題点に気づきました。
「専門外の皮膚科医が、薬も使わず、お金もかけずに治療できることを、どうして専門の先生がやっていないのか?」
私は、整形外科医が悪いと言いたいのではありません。
このことは、すべての医療の分野で起こっていると思うのです。
高血圧、高脂血症、糖尿病・・・
うつ病・・・
肩こりによる頭痛・・・(以前、20代の肩こりによる頭痛で、ひたすら湿布治療のみの患者さんがいました。まだ20代ですよ!おかしいと思いません?)
膝の痛み・・・
繰り返す膣カンジダ・・・(これまた、20代の女性が頻繁に繰り返すこと自体おかしいと思いません?カンジダの薬をわたしておしまいでは、繰り返すにきまってます!)・・・
こうしてあげてゆくときりがありません、残念なことに。
アトピーだけでなく、日本の医療のあらゆる分野で、「お薬をだして、はい、おしまい」ということが起こっています。
だから、患者さんは幸せになれず、医療費ばかりふえて、税金ばかりふえる!!(あ、すみません、こんなところで愚痴って)
アトピーは患者さんの数が非常に多く、また、人に見える皮膚というところに症状が出るため、とくに大きな問題になっているだけで、実は、あらゆる医療の分野で同じような問題が起こっています。
でも、これは医師だけの問題なのでしょうか?もちろん、医師が病気の本質をしっかり見つめてこなかったという問題はあります。
ですが、国民も、もっと「お手軽」ばかりを求めてしまうのを改める時が来ているのだと思います。
ダイエットに、このサプリ一つで!
アトピーに、この○○一つで!
そんなわけないんです。簡単に済ませたい気持ちはわかります。でも、一瞬で起こった症状ではありませんから、もっと要因は複雑なはずです。それを、なにか一つで解決させようという考え方からして、おかしなことです。
このブログを読んでくださっている皆さんには、是非、
「皮膚は本来どうやって潤うようにできているのか?」
「皮膚は本来どうやって栄養をもらっているのか?」
こんな観点でアトピーを本質的に考えていただきたいと思います。
本質的に考えると、お金もいらない、物品もいらない。
いまの病的状態のからだを「からだ本来のあるべき姿に戻す」だけで心身ともに健康になりつつ、皮膚もきれいになります。
当たり前と言われれば、当たり前ですね。
だって、心身が病的で皮膚が健康なわけがないのですから!
ここまで、書いてくると、じゃあ、ステロイドなんて一切使わないの?と言われてしまいそうですが、「せっかく、この医療の発達した現代に生まれたんですもの、使えるものは使う!」
ですが、今までのようにダラダラと使っていてはいけません。
上手に使わねば、副作用ばかりが出てきて、せっかくのいい面が生かされません。要は、「ハサミと○○は使いよう」ではありませんが、ステロイドも使いようです。アトピー治療にも頭を使って作戦をたてる必要があるのです。