ちびっこ冷え症!!! | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

今日は、ちびっこのかさかさのお話です。赤ちゃんのかさかさでお悩みのママ必見です!





今日の症例は5ヶ月の男の子。夏の終わり頃から頭のところに赤い湿疹が出たり消えたりするようになったと受診されました。





見ると、後頭部の真ん中あたりと首の付け根に紅斑(赤いけれど平らなもの)があります。診察時にはざらざらはありませんでしたが、ときどきひどくなってかさかさするとのことでした。





さあ、これから何を考えますか?頭の湿疹・・・・





よくわからないですねえ。そういうときは、一緒に体も見てしまいましょう!





体を見ると、ヒントがいっぱいありました。そう、背中は黄色人種なのに皮膚が黄色いというより、なんとなく赤い。そして、四肢は肘から先、膝から先がなんとなく冷たく、もやもやとした模様(火ダコってわかります?寒い地方の方ならわかるかも。火ダコのように寒いときに皮膚に出るもやもやした模様です)。体は全体的になんとなく乾燥し、足首には湿疹がでています。





はい、この患者さんの症状を説明してください。





答えは「冷え症による乾燥症」!





皮膚を見て、ぴーんときた私は、すかさずママにこんな質問をしました。





私:「この子、最近、手足冷たいなと思っていたでしょう?この子、冷え症なの!冷えるからこんなに乾燥しているの!」


ママ:「あー、やっぱり!!!そうかなと思っていたけど!」





私:「眠くなるとき、ちゃんと手足は温かくなる?」


ママ:「眠くなったときや寝ているときは手足温かいんですけど、起きると手足が冷たくなっておかしいなと思っていたんです!」





この会話でだいたい、おわかりになったでしょうか?





そう、冷える→皮膚に血流が行っていない→皮膚が潤わない、なんですよね。





勿論、このお子さんは、しっかり「血流改善ちびっこ体操」を習って、お薬ももらって帰りました(^^)





さて、頭の紅斑。あれはいったい何だったと思います?





よく見ると、寝っ転がった時に頭が床につく部位が赤かったんです。そう、つまり、圧迫で血がたまっているとき、紅斑になり、それがひどくなるとかさかさしていたんです。





ほら、背中がなんだか全体的に赤い、という所見があったでしょう?あれが、その「鬱血(血の巡りが悪く、血がたまっていること)」を物語っていました。あの赤さは、血がたまっていることを示していたんですね!だって、冷え症ですから!





冷え症というのは、簡単に言えば、「温かい血液をすみずみまで届けられない状態」。





だから、背中や頭の血液もどよ~んとしてたまっていたという訳です。そりゃ、乾燥して当たり前ですね。





さて、今日のお話を読んで、少しずつアトピーがどうして乾燥するのか、どの場所が湿疹になってしまうかということがイメージできるようになってきたでしょうか?





昨日、「湿疹は優秀な先生」というお話をしました。今日のこの患者さんの場合は、「頭の症状」だけしか最初の段階ではママは言わなかったのですが、全身をみると、大きなヒントがたくさんありました。





皮膚って本当にいろいろなことを教えてくれていますね!あとは、私たちがそのメッセージをしっかりと受け取ることで、「本質的に治療」することができるようになります。





目指せ、本質の医療!





湿疹はときにびっくりするくらいの症状を出すので、その部位ばかり、皮膚表面ばかりに気がとられがちですが、大切なことは全身まるごと見ることです。必ず何かヒントが隠れています。