医療現場は切なさと温かさで溢れている | 群馬県安中市の地域に密着≪あやこまごころ診療所≫院長 3児のママ女医あやこ先生のブログ

群馬県安中市の地域に密着≪あやこまごころ診療所≫院長 3児のママ女医あやこ先生のブログ

2017年9月19日群馬県安中市磯部に≪あやこまごころ診療所~糖尿病・ダイエット・予防接種・訪問診療~≫開業します。開業準備の話や、医療の話を書いています。

今、私は<あやこまごころ診療所>の開業準備をしながら勤務医として働いています。複数の病院で外来、急性期病棟、老人保健施設、特別養護老人ホームなどで、患者さんを担当しています。
先日、老健(=老人保健施設)で回診をしていたときのこと。ほぼ寝たきりの山田さん(70代男性)が仰いました。※個人を特定できないように内容は若干変えております。
山:あやこ先生、開業すんだってな。風の噂で聞いたよぉ。
 
あ:そうなんです、山田さん。こちらは8月末で退職するんです。
 
山:寂しいなぁ、もうあやこ先生に会えないだなんて寂しいなぁ。あやこ先生に会うと元気貰えたんだ。(患者さんの目からはうっすら涙が)

あ:山田さん、私はここにまだ数ヶ月はいますから。ちゃんと会いに来ますから。

山:開業の場所は磯部なんだって?僕は磯部の出身なんだ。だからあやこ先生の診療所は僕の思い出のたくさん詰まったところなんだ。磯部小学校にも通ったんさ。(※<あやこまごころ診療所>は磯部小学校の目の前です)

あぁ、あやこ先生の診療所に死ぬまで一度で良いから見てみたいなぁ、行ってみたいなぁ。それを目標に生きていたい!本当は家に帰りたい。
 
山田さんの目には涙が溢れていました。彼はほぼ寝たきりの方で一人ではトイレも行けません。早くに奥様を亡くし、その後は1人暮らし。子供たちは遠方にいて頼ることは出来ません。1人暮らしも限界となり、1年ほど前から施設へ。私はその時から山田さんを定期的に診察させていただいています。
 
本当は家に帰りたい
あやこ先生の診療所を死ぬまでに見てみたい
 
そんな言葉を聞いてしまったら・・・私も本当に切なく胸が苦しくなります。
 
私は、山田さんのために何ができる?
老健を退所して、簡単に自宅に帰すことが出来るのか?体は不自由で一人では何もできないに等しい。夜間1人の時にもしものことが起きたら、遠方の家族はどう思うだろう。納得するだろうか。
老健であれば、なにかがあってもすぐに対応出来るし、患者さんも家族も安心は安心。
でも、帰りたい!山田さんの望みは家に帰ること。夜間1人の時に、苦しい痛い!などの緊急事態があれば訪問看護ステーションに連絡すればよいじゃない。
いやいや、でもその緊急連絡でもできない突発性なことが起きて、翌朝冷たくなって見つかる、という事態が起きたら。山田さんは本当にそれで幸せなのだろうか?
 
そんなことを考えると胸が本当に苦しい。
何が正解?
山田さんにとって、どんな最期を迎えるのが一番幸せ?でも家族の気持ちは?
やっぱり老健にいるのが安心?
 
今の職場を退職するまであと数ヶ月あります。その間に山田さんの気持ちをちゃんともっと聞いてみよう。可能であれば家族の気持ちも聞いてみよう。たとえ、お節介と言われようとも。それは医者の仕事じゃないかもしれないけれど。ケアマネを交えて話し合ってみよう。
もし山田さんが退所して、1人で家に帰ることになったら私が在宅医として主治医になれる。今までもこれからも山田さんの体や病気のことを診れると思うのです。でもそれは綺麗ことなのかもしれない。
 
私は山田さんにとっての一番の幸せな人生を考えたい。残りわずかな人生をどのように過ごすのかが一番幸せなのかを
<あやこまごころ診療所>は在宅診療もいたします。

 

 

あやこ先生の自己紹介
 
群馬県安中市磯部に2017年9月≪あやこ まごころ診療所~一般内科・糖尿病・ダイエット・在宅~≫開業に向け現在準備中です。安中市の地域に密着した医療に力を注ぎます。【いつでもだれでも気軽に寄ってね】という理念の元、健康の事、体の事、病気の事、福祉や介護の事、日常のお困り事、など…をいつでも気軽に相談出来る診療所でありたいと思っています
いつでも沢山の笑顔が溢れ、"ここに来るとなんだか嬉しくて、笑顔になって、元気になっちゃうよね"というような診療所を目指してます。現在、建設中です。

4月28日。患者さんの足元が冷えませんように、と床暖房が入ります。


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